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スポーツ・将棋

大谷翔平の9月の負傷と復帰を振り返る|ケガは腕?膝?「片手スイング」の危険サイン、復帰日の報道の食い違いと「2番」起用


2026年9月、ドジャースの大谷翔平選手が負傷者リスト(IL)に入り、「ケガはどこ?」「いつ戻るの?」「戻ったら1番?」とファンをやきもきさせました。結果的に大谷選手は、最短の日程で戦列に戻りました。

この記事では、ドジャースの発表と、中日スポーツ、東スポWEB、THE ANSWERなどの報道をもとに、9月の負傷から復帰までを振り返ります。

要点

  • 大谷選手は9月に負傷者リスト入り。ケガをめぐっては「膝」と「腕」の2つの話が混ざって伝わったが、打撃コーチは「本当に心配だったのは腕のほう」と明かした。
  • 9月23日(日本時間24日)のパドレス戦に「2番・DH」で先発し、最短の日程で復帰。4打数1安打1四球だった。
  • ドジャースはその後ポストシーズンに進んだが、ナ・リーグ優勝決定シリーズでブルワーズに4連敗し、3年連続のワールドシリーズ制覇はならなかった。

大谷翔平のケガはどこ? 実は“2か所”の話が混ざっている

IL入りの公式な理由は「右上腕二頭筋の炎症」

まず、確定している事実から押さえます。ドジャースは現地9月11日、大谷翔平選手の負傷者リスト(IL)入りを正式に発表しました。球団が示した理由は「右上腕二頭筋の炎症」です。登録は現地9月8日にさかのぼって適用され、二刀流選手は「投手扱い」となるため15日間のILが適用されました。

ここは球団の公式発表ですから、議論の余地がありません。IL入りの理由は腕です。ドジャース移籍後は初で、エンゼルス時代の2023年9月以来、3年ぶり3度目のIL入りでもありました。

一方で以前から指摘されていた「左膝」の不安

ところが、報道を読み進めると「左膝」という言葉が何度も出てきます。これもまた事実です。

報じられている経緯によれば、大谷選手は現地9月3日から、左膝の炎症、右上腕二頭筋、首の違和感などで4試合連続で欠場していました。現地9月7日のレッズ戦に出場したあと、再び右腕に違和感が出て、そのまま欠場が続いてIL入りに至った——という流れです。

つまり、左膝はIL入りの理由そのものではなく、それ以前から抱えていた別の不調という位置づけになります。リハビリの進捗を伝える報道で、ロバーツ監督が「膝や腕、二頭筋の筋力を戻す段階」と説明していたのも、複数の箇所を並行してケアしていたからです。

ニュースを読んで混乱する原因は、この2つが同時に語られているから

整理するとこうです。

  • 公式のIL理由=右上腕二頭筋の炎症
  • それ以前から抱えていた別の不調=左膝の炎症、首の違和感
  • リハビリで並行してケアしている部位=膝・腕・二頭筋

記事の見出しが「膝」を強調すれば膝の話に読めますし、「腕」を強調すれば腕の話に読めます。どちらも間違いではなく、同じ時期に別々の部位の話が進行していたのが混乱の正体です。

そして、この混乱に答えを出したのが、次に紹介する打撃コーチの証言でした。

打撃コーチが証言した「本当に心配だったのは腕のほう」

ベイツ打撃コーチ「膝については、腕ほど心配していなかった」

現地9月19日、ベイツ打撃コーチが大谷選手の状態について記者団に説明しました。中日スポーツが伝えたその発言は、二つの部位の優先順位をはっきりさせるものでした。

「膝については、腕ほど心配していなかった」。そして、「最終的には、膝が大きな問題だったとは思わない。どちらかと言えば、腕の方が問題だったと思う」。ただしコーチは、膝の問題はシーズンのもっと早い段階で起きたもので、そこから何らかのかばう動きが生まれていた可能性はある、とも述べています。

現場で毎日スイングを見ている打撃コーチが、膝より腕のほうが懸念だったと明言したわけです。これで、二つの話が混ざっていた状況に一つの軸が通ります。左膝は確かに不調の一つだったが、本丸は右腕だった、と。

走塁練習が“膝は大丈夫”の答え合わせになっていた理由

この証言を踏まえると、現地9月19日の練習メニューの意味も変わって見えてきます。

この日、大谷選手は試合開始の約2時間30分前にグラウンドに現れ、一〜三塁間、一〜二塁間、二〜本塁間で約8分間に計5本のダッシュを行いました。報道では「軽快なベースランニング」と表現されています。

ベースランニングは、膝にとってかなり正直なテストです。加速、減速、ベースを蹴る動作、コーナーを回る際の横方向の負荷——不安があれば、走りのどこかに必ず出ます。そこを問題なくこなせたことが、「膝は大丈夫」の実地確認になっていたと読めます。

逆に言えば、走塁をクリアしてもなお復帰が確定しなかったのは、残る関門が腕の側、つまり打撃にあったからです。「走塁は済んだ、あとは打席」という構図は、この優先順位から自然に導かれます。

危険サイン「片手のフォロースルー」って何?

スイングの後、右手一本だけが残る形=どこかをかばっている証拠

ここからが本題です。ベイツコーチは、大谷選手の不調を見抜く具体的なサインを明かしました。

サンケイスポーツが伝えた発言はこうです。「片手のフォロースルーになるのは、ショウヘイが何かを抱えている時に出る一つのサイン。下半身、特に後ろ側との連動がなくなってしまう」。中日スポーツも同趣旨で、「翔平の場合、片手でフォロースルーを終えるのは、何か問題を抱えているかどうかを判断する一つのサインになる」と伝えています。

野球中継で見慣れた光景を思い出してください。打った直後、バットを両手で持ったまま振り切る打者もいれば、インパクト後に片手を離す打者もいます。片手を離すこと自体は打法の一つで、珍しくはありません。

問題は、その選手にとって普段と違う形が出ているかどうかです。ベイツコーチが言っているのは、大谷選手の場合、片手フォロースルーが出るときは体のどこかをかばっているサインだ、ということ。とりわけ「特に速球に対してそうなっている場合」は、通常のスイングが機能しているときの形ではない、とも語っています。

これは非常に理にかなった見方です。痛みや違和感があると、人間の体は無意識にその部位への負荷を減らそうとします。右腕に不安があれば、振り切る最後の局面で右手を離してしまう。本人が意識していなくても、体が先に逃げるのです。

「下半身との連動が切れる」が意味すること

コーチの言葉でもう一つ重要なのが、片手になると「下半身、特に後ろ側との連動がなくなってしまう」という指摘です。

バッティングは腕だけの動作ではありません。後ろ足で地面を押し、股関節から体幹、そして腕へと力が連鎖して初めて、あの打球速度が生まれます。腕の最後の局面で力を抜いてしまうと、その連鎖が途中で切れる。結果として、打球は飛ばなくなり、本人にも違和感が残るわけです。

つまり片手フォロースルーは、単なる見た目の癖ではなく、体の使い方全体が崩れているという構造的なサインとして読まれている、ということになります。

いまは両腕でフォロースルーできている=回復のシグナル

では現状はどうか。ベイツコーチは、ケージ内での打撃では両手でフォロースルーができていると説明し、「それが試合でもケージでも見たい形だ」と語りました。「ここまでケージでの打撃は素晴らしい。本当にいい」とも述べています。

ここが、この証言の最も価値ある部分です。回復の指標が、数値でも痛みの申告でもなく、スイングの最後の形として語られている。痛みは本人しか分かりませんが、フォロースルーの形は外から見える。だからコーチはそこを見ているのです。

ただし、ベイツコーチは条件を付けることを忘れていません。「ケージの中、つまりコントロールされた環境では、すごくいい状態だよ」。ケージの中と、生きた投手が立つ試合の打席は別物である——この留保が、復帰判断がまだ慎重に進んでいる理由とつながっています。

テレビ中継で自分で見分けるチェックポイント

ここまで読んだ方は、もう自分でチェックできます。復帰後の中継を見るとき、見る場所はこうです。

打球の行方を目で追う前に、打者の手元に視線を残す。スイングが終わった瞬間、バットに両手が残っているか、それとも右手一本になっているか。特に速球に対する打席で確認する。

もちろん、素人が一度見ただけで断定はできません。打席の状況や球種によって形は変わりますし、意図的に片手を離すこともあります。それでも、「片手が続くようなら本調子ではないかもしれない」という視点を持っているだけで、試合の見え方は変わります。飛距離やヒットの有無より、この方がよほど状態を語っている可能性があるのです。

「炎症」ってどれくらい重いの? 素朴な疑問に答える

断裂・損傷との違いをやさしく整理

「炎症」と聞いて、重いのか軽いのかピンと来ない方も多いと思います。一般的な整理をしておきます。

炎症は、腱や周辺の組織が繰り返しの負荷や摩擦で刺激を受け、腫れて痛みが出ている状態です。組織そのものが切れているわけではありません。上腕二頭筋については、肩の前側を通る「長頭腱」に炎症が起きやすいことが整形外科の解説で知られています。

損傷・断裂は、組織そのものに傷が入ったり、切れたりしている状態です。程度によっては手術が検討されます。

構造が壊れているかどうかが、両者の決定的な違いです。その意味で、炎症は断裂より軽い段階と言えます。今回、球団が発表したのが「炎症」であることは、相対的には安心材料と受け取ってよいでしょう。

ただし注意点があります。球団発表は「右上腕二頭筋の炎症」という表現にとどまっており、正確な部位や詳しい診断内容までは公表されていません。一般論としての説明と、大谷選手個人の状態とは分けて考える必要があります。

炎症でも休養が必要とされる理由

では、切れていないのになぜ2週間以上も休むのか。理由はシンプルで、炎症を鎮める最も確実な方法が、刺激を与えないことだからです。

整形外科の一般的な解説でも、腱の炎症に対しては局所の安静を中心とした保存療法が基本とされ、投薬や注射、物理療法が組み合わされます。炎症を起こしている組織に負荷をかけ続ければ、治りかけたところがまた刺激される。休養は「何もしない時間」ではなく、治療そのものなのです。

今回、大戦力である大谷選手を球団がILに入れた判断も、この原則に沿っています。

無理に投げる・振るとどうなるのか

痛みを押して使い続けた場合に何が起きるか。一般論として、次のような段階が考えられます。

炎症が慢性化して治りが遅くなる。痛みをかばう動作が身につき、フォームが崩れる。そして最も避けたいのが、かばった動きによって別の部位を痛めることです。腕をかばえば肩や背中に、体幹の使い方が変われば下半身に、負荷が回っていきます。

ここで冒頭の話がつながります。片手フォロースルーは、まさに「かばっている状態」の現れでした。そのまま試合に出続ければ、成績が落ちるだけでなく、二次的な故障のリスクが上がる。コーチがあのサインを注視している理由は、まさにそこにあるはずです。

練習で使われた「トラジェクトアーク」とは?

実在する投手の球筋を再現する高性能マシン

現地9月19日の練習で名前が出た「トラジェクトアーク(Trajekt Arc)」は、近年MLBで急速に普及している投球再現マシンです。

MLB.comによれば、この装置は約1,200ポンド(約540kg)の大型機で、投手のリリース位置に合わせて上下左右に動きます。実在する投手の映像と球種のデータを組み合わせて、その投手の球を再現するのが特徴です。ESPNの記事では、MLBの19球団が導入しているとされています。

普通のバッティングマシンと何が違う?

従来のマシンとの決定的な違いは、投手そのものを再現する点にあります。

一般的なマシンは、一定の位置から一定の球速・回転でボールを射出します。打者は球筋に慣れることはできても、「誰が投げているか」という情報は得られません。

トラジェクトアークは、打者目線で撮影した投手の投球動作の映像をマシン前面のスクリーンに投影し、その映像とタイミングを合わせてボールを射出します。つまり打者は、特定の投手のフォームを見てタイミングを取り、その投手の球種・変化に対してスイングできる。データ計測機器と連携し、打球速度や打球角度も記録されます。

「球を打つ練習」ではなく「投手と対戦する練習」——これが最大の違いです。

これを打てる=ほぼ実戦レベルに戻ったと言える理由

リハビリの段階として見ると、この装置の位置づけがよく分かります。

ティー打撃(止まった球)→コーチが投げる打撃練習(打ちやすく調整された球)→トラジェクトアーク(実在投手の球筋とタイミング)→ライブBP(生きた投手)。

トラジェクトアークは、実戦の一歩手前にあたります。タイミングを取り、変化に対応し、フルスイングする。この一連の動作を痛みなくこなせるなら、体としてはかなり戻ってきていると判断できるわけです。実際、大谷選手はこの日30〜40スイングを行い、終了後の状態も良好だったと報じられています。ベイツコーチによれば、この日はマシン打撃、トラジェクトアーク、ティー打撃の3つすべてをこなしたとのことです。

ベイツコーチ「強度でいえば100%の状態」の意味

そのうえでのコメントが、「強度という意味では100%と言っていいと思う。ケージの中、つまりコントロールされた環境では、すごくいい状態だよ」でした。

この発言は、丁寧に読む必要があります。「100%」という数字だけを切り取れば完全回復のように見えますが、コーチが言っているのは「強度」が100%であり、かつ「ケージの中」という条件付きだということです。

力を抜かずフルスイングできている。それは確かな前進です。しかし、生きた投手の間合い、球種の読み合い、本番のプレッシャー——それらはケージの外にあります。ロバーツ監督が「実戦に近い打席」を復帰の最終条件として打撃コーチ陣に強く伝えているのも、この差を埋める必要があるからです。

15日間のILって何? 最短で戻れる日が決まっている仕組み

ILは「負傷者リスト」。入ると一定期間は試合に出られない

IL(Injured List=負傷者リスト)は、ケガや故障の選手を一時的にロースターから外す制度です。チームは空いた枠に別の選手を登録でき、外れた選手は所定の期間、試合に出られません。

MLBのILには10日間、15日間、60日間などの区分があります。ポイントは、投手(および二刀流選手)は最低15日間と定められている点です。大谷選手は二刀流選手として「投手扱い」となるため、10日ではなく15日が適用されます。

大谷は9月8日にさかのぼってIL入り=最短復帰が23日(日本時間24日)になる理由

球団は現地9月11日にIL入りを正式発表しました。理由は「右上腕二頭筋の炎症」です。ドジャース移籍後は初で、エンゼルス時代の2023年9月以来、3年ぶり3度目のIL入りとなります。

重要なのは、この登録が現地9月8日にさかのぼって適用されたことです。ILには、直近で試合に出ていない日を遡及してカウントできる仕組みがあり、実際に大谷選手は現地9月7日のレッズ戦を最後に欠場していました。

そこから15日間を数えると、復帰可能になるのは現地9月23日。日本時間では9月24日です。これが「最短24日」という数字の正体であり、球団の意向とは無関係に制度上決まっている日付です。つまり、9月24日より早い復帰は制度上ありえず、逆に遅れる可能性だけが残っている、ということになります。

なお背景として、大谷選手は現地9月3日から、左膝の炎症、右上腕二頭筋、首の違和感などで4試合連続で欠場し、7日に出場した直後に、再び右腕に違和感が出た経緯が報じられています。今回のIL入りは、単発のアクシデントというより、複数の不調が重なった末の判断という側面があります。

なぜ「24日復帰」と「復帰は厳しい」の2種類の報道があるの?

スポーツ報知は「現実味」、サンケイスポーツは「厳しい状況」と真逆

ここが本題です。同じ時期の報道でも、トーンがはっきり分かれています。

スポーツ報知、日刊スポーツ、デイリースポーツ、中日スポーツなどは、監督の前向きな発言と練習の進捗を軸に「24日にも復帰へ」と報じました。一方、サンケイスポーツは、リハビリがスローペースで推移していることを軸に、23日(日本時間24日)のパドレス戦復帰は「厳しい状況」と報じています。

どちらかが誤報という話ではありません。同じ会見を聞いて、同じ練習を見て、どの要素を重く見るかが分かれた結果です。

食い違いの正体は「監督の言葉」と「現場の条件」のズレ

整理すると、こういう構図になります。

前向き報道が重視しているのは、監督の「可能性は十分にある」という発言、痛みが消えていること、打撃練習の強度が上がっていること、ベースランニングをこなしたこと。つまり上向きの材料です。

慎重報道が重視しているのは、IL入りから復帰まで一つひとつの段階を丁寧に踏んでいること、試合から1か月以上離れていることによる実戦勘、そして高強度のプレーに体が耐えられるかという耐久性の問題。つまりまだ埋まっていない空白です。

この二つは矛盾しません。「体は良くなっている」ことと「まだ最後の確認が済んでいない」ことは同時に成立します。そして最終的な判断を握っているのは、記者ではなく球団です。

ロバーツ監督がコーチ陣に出した“厳命”=実戦に近い打席を経験させろ

食い違いの核心にあるのが、ロバーツ監督が打撃コーチ陣に伝えている条件です。サンケイスポーツが伝えた監督の説明は、およそ次のような内容でした。

フィールドで打つところを見たいが、大谷がケージで打つのを好むことも分かっている。コーチが投げる打撃練習の球を打ち、トラジェクトアークの球を打って、実戦に近い打席を経験する。そういう流れを考えており、打撃コーチたちにもそのことは強く伝えている——。

つまり、「実戦に近い打席(ライブBP=生きた投手を相手にした打撃)をクリアすること」が復帰の最終条件として設定されている、ということです。監督自身も、ライブBPについて「そこで強度はさらに上がる。それでどうなるかを見るのは良いテストになる」と述べています。

さらに、ベイツ打撃コーチは、打撃に〝危険サイン〟が出ていないかを注視していると明かしています。「左膝より、右腕の方が大きな懸念だった。片手のフォロースルーはショウヘイが何か不安を抱えているサイン」という説明で、スイング後に右手一本になるのは患部に違和感がある証拠になるといいます。ただし、これは以前の心配についての話で、サンケイスポーツによれば、現状は両腕のフォロースルーになっているとのことです。それでも、マシン相手に強く振れることと、生きた球に対して無意識に体が守りに入らないことは別問題で、そこを実戦に近い打席で確かめる、ということでしょう。

この条件をクリアできるかどうかで、24日か数日ズレるかが決まる

ここまで分かると、二つの報道の関係がすっきりします。

「実戦に近い打席」を予定どおりこなせれば → 日本時間24日の復帰が現実味を帯びる。逆に、そこでわずかでも違和感が出たり、日程的に間に合わなかったりすれば → 数日後ろにズレる。

どちらに転ぶかは、現地9月21日〜22日あたりのライブBPの結果次第です。だからこそ、同じタイミングで「可能性は高い」と「厳しい」が併存している。現時点で「◯日に復帰します」と言い切れる情報は、まだ誰も持っていないのが実情です。

9月24日(日本時間)、最短で復帰。4打数1安打1四球

9月23日(日本時間24日)、大谷翔平選手は本拠地でのパドレス戦に「2番・指名打者」で先発出場し、負傷者リスト(IL)から復帰しました。実戦は9月7日(日本時間8日)のレッズ戦以来、14試合ぶりです。

  • 結果:4打数1安打1四球。チームは1-5で敗れ、連勝は「5」で止まりました
  • 第1打席(1回):左腕レイのスライダーをとらえて右前打。復帰後いきなりの初安打
  • 第2打席(3回):フルカウントから四球
  • 第3打席(4回):1点を追う2死満塁の好機で、空振り三振
  • 第4打席(7回):99マイルの速球を打ち返し、フェンス手前まで届く大きな中飛(飛距離117.0メートル)
  • 第5打席(9回):空振り三振

試合後、ロバーツ監督は「すごく良かったと思う。打席の内容も良かった。ボール球を追いかけることもなかった」とたたえ、翌24日(日本時間25日)のパドレス戦にも出場する見通しを明かしました(中日スポーツ)。

腕の状態を考えるうえで目を引いたのが、7回の大きな中飛です。中日スポーツによると、ロバーツ監督は「IL入り前の最後の数週間を振り返ると、速球になかなかついていけていなかった。7回のような打球はあまりなかった。今夜の内容を見れば、フィジカル的にいい状態にあることが示された」と話しています。

また、フリードマン編成本部長によると、大谷選手本人は「シーズン序盤の状態まで戻ったと感じている」と話していたといいます。一方で同本部長は「10月に100%の状態でいる選手なんていないと思う」とも述べており、完全に治りきったわけではないという見方も伝えられています。大谷選手本人は、試合後の取材には応じていません。

1番か2番か:監督の発言の揺れと「2番・DH」

ロバーツ監督は「1番を考えている」と明言した

まず、監督の言葉を正確に確認します。日刊スポーツが伝えたロバーツ監督の発言は、「彼が戻ってくるときは、1番を考えている」というものでした。

これだけ読めば、話は簡単に見えます。大谷選手は復帰即リードオフ。実際、監督はシーズンを通してこの起用を貫いてきました。現地9月8日には、米国人記者から1番固定を疑問視された際に「彼は我々の最高の打者だから」と説明し、デイリースポーツが伝えたところでは「チーム最高の打者には最大限の裁量を与えるべき」という考えも示しています。

しかし同時に「柔軟に対応する」とも発言

ところが、監督の言葉には続きがあります。同じ日刊スポーツの記事によれば、「1番を考えている」に続けて、「その後は、相手投手の左右のマッチアップも考慮して変える可能性もある」と語っているのです。

さらにスポーツ報知が伝えた発言では、「大谷が復帰すると常に期待しつつも、(コンディション面で)不確実性があるのは確かだ。どのような状況にも備える必要がある」としたうえで、「状況をみて柔軟に判断しないといけない」と述べています。ベッツについては「ムーキーはバットが非常によく振れており、キャリアを通じて何度も1番で打ってきているため、そうするのが自然だと考えている」という評価も添えられました。この「そうする」は、大谷選手の不在中にベッツ選手を1番で起用してきたことを指しています。

この一言が“1番以外もあり得る”と受け取られている理由

なぜファンがざわついているのか。監督の言葉を分解すると、三つの要素が混ざっているからです。

一つ目は大谷選手の1番が基本線であること。これは明言されています。二つ目は相手先発の左右によって変える可能性があること。三つ目は大谷選手のコンディションに不確実性が残ること。

つまり、「1番で戻す」という意思と、「ただし条件次第」という留保が同居している。しかもその条件のうち、ベッツ選手の好調と相手投手のマッチアップという二つは、監督にとって変更を正当化しやすい材料です。だからこそ、「1番以外もあり得るのでは」という読み方が生まれています。

ここは冷静に線を引いておきましょう。現時点で決まっているのは「1番を考えている」という方針までで、打順は確定していません。

代役1番ベッツが止まらない

ジャイアンツ戦で4打数4安打2打点

議論の火種になっているのが、ベッツ選手の状態です。

現地9月19日のジャイアンツ戦、1番に入ったベッツ選手は4打数4安打2打点。二塁打3本を含む今季初の4安打で、全5打席で出塁しました。チームも10−4で快勝しています。この試合ではウィル・スミス選手も2戦連発の9号ソロを含む3安打2打点と続き、打線全体が機能しました。

直近2試合で8打数7安打5打点の大暴れ

しかも、これは一日限りの爆発ではありません。前日18日には4打数3安打3打点で、21号先頭打者本塁打と22号2ランを記録。19日と合わせると2試合で8打数7安打5打点という数字になります。

先頭打者本塁打という、リードオフとして最も分かりやすい形での結果も出している。33歳のベテランが、シーズン終盤に最も良い状態を作ってきたことになります。

「結果を出している選手を動かすのか」問題

ここから、古典的な指揮官の悩みが生まれます。

野球には「好調な選手の並びは触らない」という経験則があります。打順というのは単なる順番ではなく、打者ごとの準備のリズムや、その打席で求められる役割とも結びついているからです。実際、ベッツ選手は大谷選手不在の間に1番として結果を出しており、監督自身「そうするのが自然だ」と評価しています。

一方で、チーム最高の打者が戻ってくる。その選手にできるだけ多くの打席を与えたい——これもまた、監督が一貫して語ってきた原則です。

どちらを優先しても、一方の論理は崩れる。この構造こそが、今回の打順論議が盛り上がっている理由です。

なぜ大谷の1番は“聖域”と呼ばれてきたのか

1番に置くことで打席数が増えるという単純明快な理由

そもそも、なぜここまで1番にこだわってきたのか。理由は驚くほどシンプルです。

打順は1番から9番まで、順に打席が回ります。1試合を通せば、1番打者は9番打者より1打席近く多く回ってくる計算になります。シーズン全体では、その差は相当な打席数に積み上がります。

チームで最も打てる打者に、最も多くの打席を与える。ロバーツ監督が語った「チーム最高の打者には最大限の裁量を与えるべき」「彼は我々の最高の打者だから」という言葉は、この一点に集約されています。

シーズン中、ほぼ動かされてこなかった経緯

実際、2026年シーズンを通じて大谷選手は1番に固定され続けてきました。現地9月8日には、米国人記者がこの固定起用に疑問を呈した場面もあり、スポーツ報知が「米記者が疑問視した大谷翔平の1番固定」として報じています。それでも監督の答えは変わりませんでした。

この一貫性があるからこそ、「1番=大谷の聖域」という言い方が生まれています。そして、その聖域に初めて外側から圧力がかかっているのが、今のベッツ選手の状態というわけです。

なお、大谷選手の離脱期間中は、ベッツ選手の前にトミー・エドマン選手が1番を務めた時期もありました。報道によれば、その4試合で打率4割超という数字を残しています。代役が次々と結果を出している状況も、監督の選択肢を増やしています。

その後:ポストシーズンはリーグ優勝決定シリーズで敗退

復帰後、ドジャースはポストシーズンに進みました。スポーツ報知によると、ナ・リーグ優勝決定シリーズではブルワーズに4連敗し、10月15日(日本時間16日)の第4戦で敗退が決まりました。前年に球団史上初のワールドシリーズ2連覇を果たしたドジャースでしたが、ナ・リーグ球団で初となる3連覇には届きませんでした。

まとめ

  • 2026年9月、大谷翔平選手は負傷者リスト入りしました。「膝」と「腕」の2つの話が混ざって伝わりましたが、打撃コーチは「本当に心配だったのは腕のほう」と明かし、片手のフォロースルーを危険サインに挙げていました。
  • 「24日復帰」と「復帰は厳しい」という報道が並びましたが、大谷選手は最短の日程の9月24日(日本時間)に「2番・DH」で復帰しました。
  • ドジャースはナ・リーグ優勝決定シリーズでブルワーズに敗れ、3年連続のワールドシリーズ制覇はなりませんでした。

参考・出典