最終更新日:
アジア大会

アジア大会サッカー男子、U-21日本は銀メダル|準決勝はPK戦の死闘、決勝は韓国に0-1、北朝鮮戦の判定とVAR


愛知・名古屋アジア大会のサッカー男子で、大岩剛監督が率いるU-21日本代表は決勝まで勝ち進み、銀メダルを獲得しました。「決勝はどうだった?」「準決勝のPK戦はどんな展開?」「北朝鮮戦の決勝点はファウルじゃないの?」と気になった方も多いのではないでしょうか。

この記事では、日本の全試合の結果と、準決勝・決勝の流れ、準々決勝の判定をめぐる議論とVARのルールを整理します。

要点:3大会連続の決勝進出、韓国に敗れて銀メダル

  • U-21日本代表は、グループステージ3連勝、準々決勝で北朝鮮に1-0、準決勝でウズベキスタンにPK戦で勝ち、3大会連続で決勝に進んだ。
  • 10月3日の決勝はU-23韓国に0-1で敗れ、銀メダル。韓国は大会4連覇を達成した(スポーツ報知)。
  • 準々決勝の北朝鮮戦の決勝点では、北朝鮮側が「押した」と主張したが、VARは準決勝からの導入で、判定は変わらなかった。

日本の全試合の結果

ラウンド 対戦相手 結果
グループステージ 香港 ○2-0
グループステージ キルギス ○7-0
グループステージ タイ ○3-0
準々決勝 北朝鮮(U-23) ○1-0
準決勝(9月30日) ウズベキスタン △1-1(PK戦で勝利)
決勝(10月3日) 韓国(U-23) ●0-1

準決勝:PK戦の10人目で決着

SmartFLASHによると、9月30日にヤンマースタジアム長居で行われた準決勝で、大岩監督は準々決勝から先発全員を入れ替えて臨みました。前半9分に今大会初の失点を喫し、前半はシュート1本に終わりましたが、後半に石橋瀬凪選手のゴールで追いつき、1-1のまま延長を終えてPK戦へ。

PK戦は5人ずつで4-4、サドンデスに入っても決着がつかず、10人目で日本のDF小杉啓太選手が決め、ウズベキスタンのキックがクロスバーに当たって、日本の勝利が決まりました。大岩監督は「選手たちが最後まで良く頑張って追いついて、良く勝ち切ったと思います」と話しています。

決勝:韓国に0-1、4大会ぶりの金はならず

スポーツ報知によると、10月3日に豊田スタジアムで行われた決勝で、日本はU-23韓国に0-1で敗れました。前半からDF岡部選手のヘディングや、FW福山選手のシュートなどのチャンスを作りましたが決めきれず、前半25分過ぎにはFWンワディケ選手が右足を痛めて担架で退場するアクシデントもありました。後半16分に左サイドを破られて失点し、後半34分のMF石井選手のシュートは右ポストに当たりました。

金メダルを取ると兵役が免除される韓国は、大会4連覇を達成しました。

準々決勝までの勝ち上がり

U-21日本代表のここまでの結果は、次のとおりです(Goal.com、各報道による)。

日付 ラウンド 対戦相手 スコア
9月16日(水) グループA 第1節 香港 2-0 勝ち
9月20日(日) グループA 第2節 キルギス 7-0 勝ち
9月23日(水) グループA 第3節 タイ 3-0 勝ち
9月26日(土) 準々決勝 北朝鮮 1-0 勝ち
9月30日(水) 準決勝 ウズベキスタン 19時30分キックオフ

ここまで4試合すべてに勝ち、13得点、失点0という成績です。

グループステージは3連勝(香港2-0、キルギス7-0、タイ3-0)

日本はグループAで、香港に2-0、キルギスに7-0、タイに3-0と3連勝し、3試合で12得点・失点0の首位で決勝トーナメントに進みました(フットボールチャンネル)。特にキルギス戦では7得点を挙げ、攻撃力の高さを見せました。グループAで首位だったことで、準々決勝の相手は北朝鮮に決まりました。

準々決勝で北朝鮮に1-0、先発9人を入れ替えて勝った

9月26日の準々決勝・北朝鮮戦は、愛知県の豊田スタジアムで行われ、1万8912人が観戦しました(サンケイスポーツ)。大岩監督は、中2日の過密日程を考え、グループステージ第3節のタイ戦から先発を9人入れ替えました。スポーツ報知によると、DFの市原吏音選手とMFの中島洋太朗選手以外の9人を入れ替え、遅れて合流した海外組のFWンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄選手(オールボー)が今大会初先発しました。ンワディケ選手のプロフィールは「決勝ゴールのンワディケって誰? 読み方・年齢・経歴と、191cmのFWがデンマーク移籍から大岩ジャパンで初先発弾を決めるまで」で紹介しています。

試合は、北朝鮮の縦に速い攻撃と鋭い守備に苦しみましたが、前半39分にンワディケ選手がロングボールを収めて先制ゴールを決めました。後半は北朝鮮に押し込まれる時間が続きましたが、DFの岡部タリクカナイ颯斗選手を中心にクロスをはね返し、後半43分のピンチもGKの荒木琉偉選手が防いで、1-0で逃げ切りました。北朝鮮とは前回2023年の大会でも準々決勝で対戦しており、荒れた試合になった「因縁」の相手でしたが、今回は大きなトラブルなく勝ち切りました。前回の対戦で何があったのかは「アジア大会、日本vs北朝鮮はなぜ「因縁」? 2023年のクーラーボックス騒動から今回の猛抗議まで、2大会連続の準々決勝を振り返る」で振り返っています。試合後の挨拶拒否や、北朝鮮の監督の会見での発言は「北朝鮮が日本戦で挨拶拒否、監督は「審判に問題」|何が起きた?抗議の一部始終と試合後の発言」で詳しくまとめています。2023年の杭州大会や2025年のU-17ワールドカップを含めた日朝戦の騒動の経緯は「北朝鮮と日本のサッカーで騒動が続くのはなぜ?|杭州の威嚇・U-17「グーパンチ」・今回の挨拶拒否を時系列で整理」で時系列にまとめています。

先発を大きく入れ替えても勝てたことで、準決勝に向けて主力選手の体力を温存できたことも、日本にとっては大きな意味を持ちます。

日本はなぜU-21? 相手はU-23とオーバーエイジ

アジア大会の男子サッカーは、23歳以下の選手に、年齢制限のない「オーバーエイジ」の選手を3人まで加えて出場できる大会です。この仕組みは、2002年の釜山大会から導入され、オリンピックの男子サッカーと同じ形式です。

ところが、日本はこのルールの上限である23歳以下ではなく、21歳以下の選手だけでチームを作っています。その理由は、2年後のオリンピックです。2026年に21歳の選手は、2028年のロサンゼルス五輪のときに23歳になり、五輪の男子サッカーに出場できる年齢になります。日本サッカー協会は、ロサンゼルス五輪を長期的な目標とし、この世代に経験を積ませる方針をとっています(Qolyによる)。アジア大会を五輪の2年前の世代で戦うことは、日本にとって慣例になっています。

日刊スポーツも、日本が「周りより2歳下」で挑む理由を、この五輪に向けた強化として伝えています。このため、日本は他の多くの国より2歳若いチームで戦っています。例えば、準々決勝で対戦した北朝鮮は、U-23の選手に、A代表としてW杯予選に出場した経験を持つオーバーエイジの選手3人を加えていました(スポーツ報知)。日刊スポーツは、韓国も海外でプレーする選手9人をそろえ、オーバーエイジの枠も3人すべて使っていると伝えています。韓国では、アジア大会の金メダリストに兵役の特例が認められており、毎回、優勝を目指して強いメンバーをそろえることで知られています。

一方で、準決勝で対戦するウズベキスタンは、日本と同じく2005年以降に生まれたロサンゼルス五輪世代を中心にした若いチームで、オーバーエイジの枠を使っていません(フットボールチャンネル)。準決勝は、2028年のロサンゼルス五輪を目指す同じ世代どうしの対戦になります。

日本のアジア大会での成績:優勝は2010年の広州大会だけ

日本がアジア大会の男子サッカーで最後に優勝したのは、2010年の広州大会です。今回の名古屋大会で優勝すれば、4大会ぶりの金メダルとなります。

直近の2大会では、日本はいずれも決勝まで進みながら、韓国に敗れて銀メダルでした。2018年のジャカルタ・パレンバン大会では、U-21の日本が決勝で韓国に延長戦の末に敗れました。前回2023年の杭州大会でも、日本は決勝で内野航太郎選手のゴールで先制しながら、韓国に1-2で逆転負けし、銀メダルでした。韓国はこの優勝で大会3連覇を達成しています(日本経済新聞)。Qolyによると、韓国メディアも「日本はU-21編成でも直近2大会連続で決勝に進出しており、決して侮れない存在」と評価しています。

今回、日本と韓国がともに準決勝に勝てば、3大会連続で決勝が日韓戦となります。日本が地元開催のアジア大会で、2大会続けて敗れてきた韓国に雪辱を果たせるかどうかも、大きな注目点です。もちろん、そのためにはまず準決勝でウズベキスタンに勝つ必要があります。

準決勝の相手ウズベキスタン

準決勝の相手、U-21ウズベキスタン代表は、今大会で日本と同じく全勝で勝ち上がってきました。フットボールチャンネルによると、ウズベキスタンのここまでの結果は次のとおりです。

  • グループC:フィリピンに5-1、クウェートに2-0、ベトナムに2-0で3戦全勝、9得点1失点で首位通過
  • 準々決勝(9月25日):グループD2位のサウジアラビアに3-0で勝利。前半12分にDFディルショド・ムルタゾエフ選手が先制し、78分にアジズベク・トゥルキンベコフ選手、86分に途中出場のフィルダフス・アブドゥラフモノフ選手が追加点

4試合で12得点1失点という成績で、初戦で1点を失ったあとは3試合連続で無失点です。日本の4試合13得点・失点0とほぼ互角の数字で、守備の固いチームどうしの対戦になりそうです。

ウズベキスタンは、ロサンゼルス五輪世代の選手たちで構成されたチームで、オーバーエイジの選手を使っていません。つまり、日本とウズベキスタンは、どちらも2028年のロサンゼルス五輪を目指す同じ世代のチームです。アジアの五輪予選でも今後対戦する可能性がある相手だけに、この準決勝は、五輪に向けた前哨戦という意味も持っています。

準々決勝・北朝鮮戦の決勝点は「ファウル」だったのか

場面の整理(DF佐藤海宏のロングボール→DFキム・ユソンの処理→競り合い)

問題の場面は、前半39分に起きました。日本のDF佐藤海宏選手(アルビレックス新潟)が自陣から前線へロングボールを蹴り込み、ボールは北朝鮮のゴール前、DFラインの裏に落ちました。このボールを処理しようとしたのが、北朝鮮のDFキム・ユソン選手です。

RONSPOによると、キム・ユソン選手は自陣ゴール前に弾んだボールの処理を誤り、慌てて追いかけました。そこへ背後から詰めてきたのが、FWンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄選手(オールボー/デンマーク)です。2人の競り合いの中でキム・ユソン選手がバランスを崩し、ボールを収めたンワディケ選手が右足でゴールに流し込みました。

北朝鮮側は、この競り合いでンワディケ選手がキム・ユソン選手の背中を押すファウルをしたと主張しました。ゴール直後から複数の選手がシリアのハンナ・ハットタブ主審に詰め寄り(日刊スポーツ)、選手たちがベンチ前に引き揚げたことで、試合は数分間止まりました(中断の時間は報道によって約2分〜約3分と差があります)。抗議の一部始終と試合後の挨拶拒否は「北朝鮮が日本戦で挨拶拒否、監督は「審判に問題」|何が起きた?抗議の一部始終と試合後の発言」で、両チームの過去の対戦は「アジア大会、日本vs北朝鮮はなぜ「因縁」? 2023年のクーラーボックス騒動から今回の猛抗議まで、2大会連続の準々決勝を振り返る」でまとめています。2023年の杭州大会や2025年のU-17ワールドカップを含めた日朝戦の騒動の経緯は「北朝鮮と日本のサッカーで騒動が続くのはなぜ?|杭州の威嚇・U-17「グーパンチ」・今回の挨拶拒否を時系列で整理」で時系列にまとめています。一方、ンワディケ選手はフラッシュインタビューで「相手の背後に落ちるボールを狙うのは自分の得意なプレー」と話しています(RONSPO)。ゲキサカによると、ンワディケ選手は「海宏のクリアが絶対に裏を越えてくるなというのは予測が早めにできた」と振り返っており、同サイトは「ファウルにならないように」競り合ったンワディケ選手の駆け引き勝ちのゴールだったと伝えています。ンワディケ選手のプロフィールは「決勝ゴールのンワディケって誰? 読み方・年齢・経歴と、191cmのFWがデンマーク移籍から大岩ジャパンで初先発弾を決めるまで」で紹介しています。

韓国メディアの見方(スポーツ朝鮮は「押したような動きがあった」と伝えつつ、判定は変わらなかったと報道)

中立的な立場から試合を報じた韓国メディアの見方も確認しておきましょう。THE DIGESTによると、韓国紙『スポーツ朝鮮』は、「競り合いの際に相手選手を押したような動きがあったため、北朝鮮の選手たちは主審に激しく抗議したが、判定は変わらなかった」と伝えています。

この書き方は、「押したような動き」があったことには触れつつ、それがファウルだったとは断定していません。一方で同紙は、試合全体については「北朝鮮のラフプレーが見られた」「北朝鮮の問題は決定力だった」とも報じています。つまり、韓国メディアの報道も「明らかな誤審だった」という論調ではなく、判定をめぐる争点がある場面だったと伝えるにとどまっています。

競り合いでの「押す」はどこからファウル?競技規則の基本

競技規則第12条「ファウルと不正行為」の考え方

サッカーのルールは、国際サッカー評議会(IFAB)が定める「サッカー競技規則(Laws of the Game)」に基づいています。日本では日本サッカー協会(JFA)が日本語版を発行しており、アジア大会のような国際大会も同じ競技規則で行われます。反則について定めているのが、第12条「ファウルと不正行為」です。

第12条では、競技者が相手競技者に対して次のような行為を「不用意に、無謀に、または過剰な力で」行ったと主審が判断した場合に、直接フリーキックが与えられると定めています。

  • チャージする
  • 飛びかかる
  • 蹴る、または蹴ろうとする
  • 押す
  • 打つ、または打とうとする
  • タックルする、またはチャレンジする
  • つまずかせる、またはつまずかせようとする

ここで大切なのは、「押す」という動作があれば必ずファウルになるわけではない、という点です。「不用意に(注意や配慮を欠いて)」「無謀に(相手の危険を顧みずに)」「過剰な力で(必要以上の力で)」行われたと主審が判断したときに、初めて反則になります。サッカーは体と体がぶつかり合うスポーツなので、接触の程度や状況を主審が見極める仕組みになっているのです。

体を寄せる正当なチャージと、押すファウルの違い

競り合いの中で、相手に体を寄せてボールを奪いに行くこと自体は、サッカーで認められたプレーです。一般に「正当なチャージ」とされるのは、ボールがプレーできる範囲にあるときに、肩と肩をぶつけ合うように、相手に対して過度な力を使わずに体を寄せるプレーです。

一方、相手の背中を両手で押す、ボールと関係なく相手を突き飛ばす、といったプレーは、ファウルと判断されやすくなります。ただし、腕や手が相手の体に触れただけで反則になるわけではなく、その接触で相手のバランスが大きく崩れたか、ボールへのプレーが妨げられたかなども含めて、主審が総合的に判断します。

今回の場面で北朝鮮が主張したのは、「背後からの押し」でキム・ユソン選手がバランスを崩したという点です。一方で、キム・ユソン選手はその直前にボール処理を誤っていたとも報じられています。接触があったのか、あったとしてファウルに当たる程度だったのかは、映像を見る人によって意見が分かれる可能性がある場面といえます。この記事では、どちらが正しいかを断定することは控えます。

最終的に判断するのは主審(主審の判定が最終となる原則)

サッカーでは、競技規則第5条で、試合に関する事実についての主審の決定は最終であると定められています。ファウルかどうか、ゴールを認めるかどうかは、ピッチ上の主審が判断し、その判断がそのまま最終的な判定になります。

また、試合がいったん再開されると、主審は原則としてそれ以前の判定を変えることができません。今回の日朝戦では、主審はファウルを取らずにゴールを認め、その後キックオフで試合が再開されました。そのため、どれだけ抗議が続いても、この判定が覆ることはありません。なお競技規則には、選手が「レビュー」を求めるシグナル(テレビ画面の形を描くジェスチャー)を過度に行った場合に警告の対象になり得るという規定もあります。

なぜ準決勝からVARが導入されるのか

今大会のVARの運用

日刊スポーツなどの報道によると、愛知・名古屋アジア大会の男子サッカーでは、VARは準決勝以降の試合で導入され、準々決勝までは使われていません。9月26日の日本対北朝鮮戦も準々決勝だったため、VARによる映像の確認は行われませんでした。9月25日の準々決勝、ベトナム対韓国戦でも、ベトナムのゴールがオフサイドで取り消された場面があり、ベトナムのメディアは、ベトナムサッカー連盟(VFF)審判委員会の元委員長の「残念ながらVARがなかったので、すべては副審の判断に委ねられた」という声を伝えています。

では、なぜ準決勝からなのでしょうか。大会の主催者や競技団体がこの理由を公式に説明した資料は、執筆時点では確認できていません。一般に、VARを運用するには、映像を確認する専用のオペレーションルーム、多数の中継カメラ、VARの資格を持つ審判員が必要で、全試合で導入するには大きな費用と人員がかかります。大会によっては、注目度の高い終盤の試合に絞って導入するケースもあります。今大会の具体的な判断理由については、公式発表が出た段階で追記します。

VARが入るとチェックされる4つの場面(得点、PK、一発退場、選手の間違い)

VARは、試合のすべての判定を映像で見直す仕組みではありません。競技規則のVARプロトコルでは、VARが介入できるのは試合の結果を大きく左右する次の4つの場面に限られています。

  • 得点かどうか(ゴールの前に反則やオフサイドがなかったか)
  • PKかどうか
  • 一発退場かどうか(2枚目の警告による退場は対象外)
  • 警告や退場を与える選手の間違い

さらに、VARが介入するのは「はっきりとした、明白な間違い」があった場合か、「見逃された重大な事象」があった場合だけです。判定が微妙で、映像を見ても意見が分かれるような場面では、基本的に主審の最初の判定が尊重されます。VARの考え方は「最小限の干渉で、最大の利益を得る」ことだとされています。

もしVARがあったら、今回のゴールは確認の対象になったのか

では、仮にこの試合でVARが使われていたら、どうなっていたのでしょうか。ルール上は、「得点」の場面では、ゴールにつながった攻撃の中で攻撃側の選手に反則がなかったかがVARのチェックの対象になります。今回のように、得点の直前にあったンワディケ選手とキム・ユソン選手の競り合いは、VARが映像を確認する範囲に含まれる場面です。

ただし、「確認の対象になる」ことと「判定が変わる」ことは別の話です。VARが主審に映像の確認(オン・フィールド・レビュー)を勧めるのは、主審の判定が「はっきりとした、明白な間違い」だとVARが判断した場合に限られます。接触の程度について意見が分かれるような場面であれば、映像を確認しても主審の判定がそのまま維持されることもあります。今回のゴールがVARによって取り消されたかどうかは、ルールの上からは判断できず、この記事では推測しません。

ひとつ言えるのは、VARがあれば、少なくとも映像による確認が行われ、判定の根拠が選手やサポーターにとってわかりやすくなった可能性があるということです。北朝鮮の選手たちがVARを要求するジェスチャーをしたのも、映像で確認してほしいという主張の表れでした。

主審ハンナ・ハットタブさんはどんな審判?

シリア出身の国際審判

この試合の笛を吹いたのは、シリアのハンナ・ハットタブ主審です。ハットタブ主審は、2023年にカタールで開かれたAFCアジアカップ(2024年1〜2月開催)で、AFCが発表した33人の主審の一人に選ばれ、グループリーグのイラン対香港戦などで笛を吹きました(2023 AFC Asian Cup officials|Wikipediaなど)。

アジアカップを任されていることから、アジアの国際試合を担当する経験のある審判の一人といえます。ただし、生年月日やFIFAの国際審判員に登録された年などの詳しい経歴は、公式の資料では確認できていません。

アジア大会のような国際大会では、対戦する国とは別の国の審判が試合を担当するのが一般的です。今回も、日本とも北朝鮮とも異なるシリアの審判が主審を務めました。

まとめ

  • アジア大会のサッカー男子で、U-21日本代表は決勝でU-23韓国に0-1で敗れ、銀メダルを獲得しました。韓国は大会4連覇です。
  • 準決勝のウズベキスタン戦は1-1からPK戦にもつれ、10人目で決着する死闘でした。
  • 2歳上のU-23や、年齢制限のないオーバーエイジの選手を加えた相手に対し、2028年ロサンゼルス五輪を見据えたU-21で臨み、3大会連続の決勝進出を果たしました。
  • 準々決勝の北朝鮮戦の決勝点は、北朝鮮側が「押した」と主張しましたが、VARは準決勝からの導入で、主審の判定が最終となりました。

参考・出典