2026年10月9日、東京・後楽園ホールで行われたGLEATの大会で、プロレスリング・ノアの小峠篤司選手がエル・リンダマン選手を破り、GLEATの最高峰王座であるG-REX王座を奪取しました。ところが話題になったのは、勝敗そのものよりも試合後の光景でした。小峠選手は握手を求める仕草を見せながら、応じようとしたリンダマン選手をリング下へ落とし、GLEATの選手たちがリングになだれ込む、あわや乱闘の事態になったのです。
「なぜ勝ったあとにあんなことをしたのか」と気になった方も多いのではないでしょうか。結論から申し上げると、この握手騒動は突然の出来事ではなく、前哨戦の段階から続いてきた「握手」をめぐる2人の対立の延長線上にあります。リンダマン選手が「愛」を掲げる一方、小峠選手は「団体の意地をかけた戦いで握手はありえない」という立場を、一貫して示してきました。
この記事では、東スポWEBとスポニチアネックスの報道をもとに、10月9日の試合後に何が起きたのかを整理し、8月から続く伏線と、「愛」と「緊張感」という2人の主張のすれ違いを解説します。情報は2026年10月10日時点のものです。
10月9日後楽園で何が起きた?
大会名は「GLEAT Ver.EX~GLEATvs強敵~」で、G-REX王座戦はメインイベントとして行われました(スポニチ)。
20分超えの激闘、決め手は“奥の手”オーバーキルスイッチ
スポニチアネックスによると、王者エル・リンダマン選手と挑戦者・小峠篤司選手(40)の一戦は、20分を超える激闘になりました。
東スポWEBによると、試合はゴングと同時に波乱含みで始まりました。リンダマン選手が握手を求めて差し出した手を、小峠選手は引き込むようにして一気に攻め込み、場外戦でも厳しく攻め立てました。その後は、小峠選手が頭突きなどの非情な攻めでペースをつかもうとする一方、リンダマン選手も小峠選手を投げ飛ばしてコーナーに叩きつけ、中盤には原爆固めや岩石落としを続けて決めるなど、一進一退の展開になりました。小峠選手はコーナー最上段の攻防から雪崩式のコウモリ吊り落としで反撃し、終盤のリンダマン選手の猛攻を耐えしのぎました。
スポニチによると、最後はコウモリ吊り落とし、キルスイッチとつないだうえで、“奥の手”のオーバーキルスイッチで3カウントを奪いました。スポニチは、この結果を、GLEATの至宝が他団体に流出する“緊急事態”と表現しています。G-REX王座の歴史や歴代王者、「他団体流出」と報じられた理由は、G-REXがノアに流出!歴代王者と「至宝」の重みで解説しています。
握手と見せかけてリング下へ。GLEAT勢がリングインし一触即発に
騒動が起きたのは試合後です。スポニチアネックスによると、小峠選手は勝ち名乗りを受けてベルトを受け取ったあと、リンダマン選手に握手を求めました。リンダマン選手が応じようとすると、小峠選手はそのままリング外へ投げ捨てたと伝えられています。東スポWEBは、この場面を、応じようとしたリンダマン選手を足蹴にしてリング下に落とした、と報じています。
会場が騒然とするなか、セコンドについていたGLEATの選手たちが激高してリングに上がりました。スポニチは、ユニットに関係なくGLEATの選手たちがリングインしたと伝えています。一触即発の雰囲気のなか、小峠選手はマイクを握りました。
小峠のマイク「ようやく緊張感出てきたけど遅いんじゃ」
小峠選手のマイクは、報道によって伝え方が異なります。公式の書き起こしは確認できていないため、2つの報道の表現をそれぞれ紹介します。
東スポWEBによると、小峠選手はまず「これはノアとGLEATの対抗戦や。愛だのなんだの言ってる場合ちゃうぞ」と、愛を語るリンダマン選手をこき下ろしました。さらに、怒るGLEATの選手たちに向けて「ようやく緊張感出てきたけど遅いんじゃ。俺は自分の団体が最高で最強だと思っている。だけどこのG―REXのベルトを巻いたからには価値を上げたるから。お前ら順番にかかってこい」と言い放ち、リングを去ったと伝えられています。
スポニチアネックスでは、「遅いんじゃ!緊張感がないんじゃ!俺は最初から言うてるやろ!これはノアとGLEATの威信を懸けた対抗戦だって」と始まり、「G-REX巻いたからには価値あげてやるからかかってこいよ!」と締めくくったと報じられています。表現は異なりますが、「GLEAT側の緊張感が遅すぎた」「団体の威信を懸けた対抗戦だ」「ベルトの価値を上げる」という主張は共通しています。
スポニチによると、バックステージでは、「やっとアイツらも火が点いてきたやろ!?流出してからじゃ遅いんじゃ」としたうえで、「山村でもKAZMAでも誰でもええわ。ちゃんと敬意をもって輝かせてやるから誰でもかかってこい!」とコメントしました。リング上では挑発的な態度を見せる一方、ベルトについては「敬意をもって」向き合う姿勢を示しています。
山村武寛が挑戦表明
小峠選手がリングを去ったあと、GLEATの山村武寛選手がマイクを持ち、G-REX王座への挑戦を表明しました。東スポWEBによると、山村選手は「愛の伝わる対抗戦よりシンプルなバチバチした熱い対抗戦で、いままでの悔しさ、憎しみ全て込めて」取りにいくと宣言しました。山村選手は、8月30日の横浜大会で小峠選手に敗れています。
なぜ握手を拒んだ?伏線は前哨戦にあった
試合後の行動だけを見ると、突発的なヒール行為に見えるかもしれません。しかし、報道をさかのぼると、「握手」をめぐる2人のやり取りは、タイトルマッチが決まった段階から繰り返されてきたことが分かります。
8月:小峠が挑戦表明、リンダマンの「その言葉の出なさが、お前の今の立ち位置だ」
東スポWEB(2026年8月30日)によると、小峠選手は8月3日の新宿大会の6人タッグ戦で、リンダマン選手から直接3カウントを奪い、ベルトへの挑戦を表明しました。これに「待った」をかけたのが山村選手で、8月30日の横浜大会で一騎打ちが組まれ、小峠選手がキルスイッチで勝利しました。小峠選手があらためて問いかけると、リンダマン選手は受諾し、10月9日の後楽園ホール大会での王座戦が決まりました。
東スポWEB(2026年8月31日)によると、試合後のコメントスペースでは、話している小峠選手にリンダマン選手が割って入り、「史上最高の小峠篤司として、スーパースター、エル・リンダマンの前に立ってくれよ」と求めました。小峠選手が「お前らには危機感ないんかよ」などと歯切れ悪く返すと、リンダマン選手は「お前のその言葉の出なさが、お前の今の立ち位置だな!」と切り返し、「ベルトは持ち帰らせてねえけどな!」と言い放ちました。言われっぱなしになった小峠選手は、GLEAT関係者にリンダマン選手を帰すよう求め、逆襲を誓っています。
このときから、小峠選手は「危機感」、つまり緊張感の不足を指摘していたことになります。
9月24日五反田:リンダマンが直接勝利、その直後に握手からの不意打ちキルスイッチ
東スポWEB(2026年9月24日)によると、9月24日のGLEAT五反田大会のメインの6人タッグ戦で、リンダマン選手(31)が小峠選手から原爆固めで直接3カウントを奪いました。リンダマン選手は「10月9日は、今日以上の愛でお前を迎え撃つ」と話し、手を差し出して握手を求めました。
これに対し、小峠選手はその手を引いてキルスイッチでリンダマン選手をマットに突き刺し、「お前、甘ちゃんすぎるで」「俺はよ、ノアの代表としてこのGLEATのリングにお前のベルトを取りにいってんやぞ。それを未だに愛とかいっとんのか。危機感が全くねえぞ」と言い放ちました。リンダマン選手は「そこに愛はあるんか!」と絶叫し、自分の思う「愛」とは、優しくて強くて懐が深く、プロレスを愛していることであり、「闘争心もプロレスへの愛だろ!」と返しました。
スポニチによると、9月27日の名古屋大会でも6人タッグ戦で前哨戦が行われ、小峠選手は、リンダマン選手から直接フォールは奪えなかったものの、最後の前哨戦を白星で締めています。
10月4日ノア代々木:リンダマン来場、握手を拒否して「敗北の愛をプレゼント」
東スポWEB(2026年10月4日)によると、10月4日のノア・国立代々木競技場第二体育館大会で、ダークマッチに出場した小峠選手の試合後、コメントスペースに、ベルトを肩にかけたリンダマン選手が現れました。「応援に来たんだ、応援に!」と笑顔で話すリンダマン選手に、小峠選手は「どうにかしてくれよ、GLEATさん」と不快感をあらわにしました。
リンダマン選手は「グッドコンディションで来てください」と握手を求めましたが、小峠選手はこれを拒否。リンダマン選手が去ったあと、「お互いの団体の意地をかけて戦ってんのに、そいつとシェイクハンドで終わらそうなんて、やっぱり俺の生きてきた時代じゃ、ありえない」と語り、「あいつがそんなにしつこく愛を求めてるんやったら、俺はあいつに敗北の愛をプレゼントしますよ」と宣言しました。
この発言は、10月9日の試合後の行動を理解するうえで、最も重要な手がかりといえます。
ここまでの経緯(時系列)
- 8月3日(GLEAT新宿):小峠がリンダマンから直接3カウントを奪い、挑戦表明
- 8月30日(GLEAT横浜):小峠が山村に勝利し、リンダマンが受諾。「その言葉の出なさが、お前の今の立ち位置だな!」
- 9月24日(GLEAT五反田):リンダマンが小峠から直接勝利。握手を求めると、小峠が不意打ちのキルスイッチ
- 9月27日(GLEAT名古屋):最後の前哨戦は小峠側が勝利
- 10月4日(ノア代々木):リンダマンが来場し握手を求めるが、小峠は拒否。「敗北の愛をプレゼント」
- 10月9日(GLEAT後楽園):小峠がG-REX王座を奪取。握手と見せかけてリンダマンをリング下へ
7月1日の旗揚げ5周年大会から始まった、ノアとGLEATの対抗戦全体の流れは、ノアとGLEATの対抗戦はなぜ始まった?で整理しています。
「愛」のリンダマンと「緊張感」の小峠、すれ違う2人の主張
リンダマンの敗戦コメント「最後に愛は勝つんだよ」
スポニチアネックスによると、敗れたリンダマン選手は試合後、「最悪…愛を語って、愛を馬鹿にされたからこそ勝たなきゃいけなかった。愛の強さを証明しないといけなかった。ファンに申し訳ない…」と語り、「絶対に間違ってない」「最後に愛は勝つんだよ」と続けました。
英語版Wikipediaによると、リンダマン選手は、2022年2月22日に、トーナメントを制してG-REXの初代王者になった選手です。「ファンに申し訳ない」という言葉には、GLEATの象徴であるベルトを他団体に渡してしまった責任感がにじんでいます。一方で、「絶対に間違ってない」という言葉は、今後もこの姿勢を貫くという宣言とも受け取れます。
小峠「これはノアとGLEATの威信を懸けた対抗戦」
小峠選手の主張は、一貫して「これは団体同士の対抗戦だ」という点にあります。8月には「危機感ないんかよ」と問いかけ、10月4日には握手を「俺の生きてきた時代じゃ、ありえない」と語り、10月9日のマイクでも「俺は最初から言うてるやろ!」と訴えました。
注目したいのは、小峠選手がGLEATを一方的に見下しているわけではない点です。「ようやく緊張感出てきた」「やっとアイツらも火が点いてきた」という言葉は、GLEATの選手たちの闘志を引き出すことを狙っていたとも読み取れます。ベルトについても、「価値を上げたる」「ちゃんと敬意をもって輝かせてやる」と語っています。
つまり、2人は「プロレスへの思い」という点では共通しながらも、その表し方が正反対だといえます。リンダマン選手は握手という形で敬意を示そうとし、小峠選手は握手を拒むことで対抗戦の緊張感を守ろうとしました。この「すれ違い」こそが、握手騒動の本質と考えられます。なお、これは報道された発言にもとづく整理で、小峠選手が狙いを詳しく語ったわけではありません。
受け止め方の分かれ目
この握手騒動については、受け止め方が分かれそうなポイントが2つあります。なお、SNSでの具体的な投稿内容や賛否の割合は、今回は確認できていないため、個別の声は引用していません。
1つ目は、「勝利後に握手を求めておいて落とすのはやりすぎではないか」という見方です。リンダマン選手は、試合開始時にも握手を求め、それを利用されて攻め込まれています。正面から敬意を示した選手に対して、握手を逆手に取ったことに、違和感を覚える人もいるでしょう。
2つ目は、「団体対抗戦である以上、なれ合いではなく緊張感こそが必要だ」という見方です。小峠選手は前哨戦の段階から握手を拒む姿勢を示していて、10月9日の行動は、その主張を最後まで貫いたものといえます。実際に、試合後にはユニットに関係なくGLEATの選手たちがリングに上がり、山村選手が「シンプルなバチバチした熱い対抗戦」を宣言しました。
まとめ
- 2026年10月9日のGLEAT後楽園大会で、ノアの小峠篤司選手が、20分を超える激闘の末にエル・リンダマン選手を破り、G-REX王座を奪取しました。
- 試合後、握手と見せかけてリンダマン選手をリング下へ落とした行動は、8月から続いてきた「握手」をめぐる対立の延長線上にあります。
- リンダマン選手は「最後に愛は勝つんだよ」と、敗れても「愛」を貫く姿勢を示し、小峠選手は「ノアとGLEATの威信を懸けた対抗戦」として緊張感を求め続けてきました。
- 次の焦点は、真っ先に挑戦を表明した山村武寛選手との王座戦です。日程や会場は、2026年10月10日時点では発表されていません。
関連記事
参考・出典
- 【GLEAT】小峠篤司がリンダマン破りG―REX奪取であわや乱闘も「ようやく緊張感出てきたけど遅いんじゃ」(東スポWEB、2026年10月9日)
- 【GLEAT】“NOAH”小峠篤司 リンダマン撃破で新王者に!至宝が他団体流出…山村武寛が挑戦表明(スポニチアネックス、Yahoo!ニュース、2026年10月9日)
- 【ノア】小峠篤司がリンダマンに怒り 王座戦前に握手求められ「俺の生きてきた時代じゃ、ありえない」(東スポWEB、2026年10月4日)
- 【GLEAT】エル・リンダマンが小峠篤司とのV7戦を前に愛を叫ぶ「そこに愛はあるんか!?」(東スポWEB、2026年9月24日)
- 【GLEAT】エル・リンダマン ノア・小峠篤司に〝先制口撃〟「その言葉の出なさが、お前の今の立ち位置だ」(東スポWEB、2026年8月31日)
- 【GLEAT】ノア・小峠篤司 山村武寛を退け…王者エル・リンダマンに挑戦へ(東スポWEB、2026年8月30日)
- G-Rex Championship(Wikipedia英語版)