愛知・名古屋アジア大会の卓球女子シングルス準決勝で、張本美和選手(木下グループ)が中国の王曼昱(おう・まんいく)選手に1-4で敗れ、銅メダルに決まりました。日本勢として1994年広島大会の小山ちれさん以来、32年ぶりとなる女子シングルスの金メダルを目指しましたが、世界ランキング1位の壁は厚いものでした。「32年ぶり」が指す1994年の小山ちれさんの優勝と、中国の壁については「「32年ぶりの金」とは?アジア大会卓球の女子シングルスで最後に勝った小山ちれと、中国の壁」で解説しています。同じ日に兄の張本智和選手が男子ダブルスで大逆転の決勝進出を果たした一日は「張本兄妹のアジア大会、同じ日の明暗|美和は銅、兄・智和は篠塚大登と大逆転で男子ダブルス決勝へ」でまとめています。
「どんな試合だったの?」「第3ゲームは勝てそうだったのでは?」「張本選手にはまだ金メダルのチャンスがあるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。この記事では、試合の流れをゲームごとに振り返り、試合後の涙のコメント、今大会の成績、そして9月28日に控える早田ひな選手との女子ダブルスの日程と放送予定をまとめます。
張本美和は準決勝で王曼昱に1-4、銅メダルが確定
スコア(8-11、4-11、10-12、11-9、6-11)
女子シングルス準決勝は、9月27日に愛知県豊田市のスカイホール豊田で行われました。世界ランキング3位で日本勢トップの張本美和選手は、世界ランキング1位の王曼昱選手と対戦し、ゲームカウント1-4で敗れました。
各ゲームのスコアは、第1ゲームが8-11、第2ゲームが4-11、第3ゲームが10-12、第4ゲームが11-9、第5ゲームが6-11です。卓球のシングルスは、11点先取のゲームを最大7ゲーム行い、先に4ゲームを取った選手が勝つ「7ゲームマッチ(4ゲーム先取)」で行われます。張本選手は第4ゲームを奪って意地を見せましたが、王曼昱選手に4ゲームを先に取られました。
18歳の張本選手にとって、王曼昱選手は格上の相手です。王曼昱選手は1999年生まれの中国のエースの一人で、2021年の世界選手権ヒューストン大会で女子シングルスを制した元世界チャンピオンです。東京五輪とパリ五輪では、中国の女子団体の金メダルメンバーでもありました。英語版Wikipediaによると、2026年9月14日付の世界ランキングで1位に立っています。
3位決定戦がないため、準決勝で負けた2人がどちらも銅メダル
アジア大会の卓球では、3位決定戦が行われません。そのため、準決勝で敗れた2人の選手が、どちらも銅メダルを獲得します。張本選手は準決勝で敗れた時点で、銅メダルが確定しました。
張本選手は26日の準々決勝で北朝鮮のキム・クムヨン選手にストレートで勝ち、準決勝進出とメダル獲得を決めていました。デイリースポーツによると、張本選手はキム・クムヨン選手との過去の対戦成績が1勝2敗と負け越していましたが、アジア大会の舞台で完勝しています。
同じ日のもう1つの準決勝では、早田ひな選手(日本生命)が世界ランキング2位の中国・孫穎莎選手と対戦しました。準決勝は2試合とも日本対中国の顔合わせで、日本勢は2人そろって決勝進出を目指しました。早田選手の試合結果は、この記事の執筆時点では確認できていません。
試合の流れをゲームごとに振り返る
第1・第2ゲーム、主導権を握れずに連取される
試合の立ち上がり、張本選手は第1ゲームを接戦に持ち込みましたが、8-11で先取を許しました。デイリースポーツは、このゲームを「接戦から8-11で落とした」と伝えています。世界1位を相手に、最初のゲームから競り合いには持ち込めていました。
しかし、第2ゲームは王曼昱選手のペースで進みました。デイリースポーツによると、張本選手はこのゲームで主導権を握れず、4-11と大きく引き離されて落としています。スポニチアネックスも「4-11と圧倒される」と伝えており、王曼昱選手の攻撃に対応しきれない展開でした。ゲームカウント0-2となり、張本選手は早くも追い込まれました。
第3ゲーム、9-5のリードから5連続失点で逆転された場面
この試合で最も大きな分かれ目になったのが、第3ゲームです。張本選手は中盤からリードを広げ、9-5と4点差をつけました。あと2点でゲームを取れる場面で、このゲームを取れば1-2となり、流れを引き戻せる可能性がありました。
ところが、スポーツ報知によると、ここから王曼昱選手の強烈なフォアハンドが決まり始め、張本選手は5連続で失点しました。9-10と逆にゲームポイントを握られた張本選手は、なんとか10-10のデュース(ジュース)に持ち込みましたが、最後は王曼昱選手の猛攻を止められず、10-12でこのゲームを落としました。
4点のリードを守り切れなかったこの第3ゲームで、ゲームカウントは0-3となりました。世界のトップ選手は、劣勢の場面でも攻撃の手を緩めず、一気に流れを変える力を持っています。張本選手にとっては、あと一歩でゲームを取れる場面だっただけに、悔しさの残るゲームになりました。
第4ゲーム、11-9で1ゲームを奪い返す
あとがなくなった第4ゲーム、張本選手は開始から3連続得点で主導権を握りました。デイリースポーツによると、中盤に4連続失点で逆転を許しましたが、張本選手は食らいつきました。スポーツ報知によると、6-3から4連続失点で逆転されたあと、7-8の場面で張本選手が王曼昱選手の強打をブロックして立て直し、バックハンドで得点しました。
終盤の競り合いを制した張本選手は、11-9でこのゲームを奪い返し、左拳を握りしめました。ゲームカウントは1-3となり、張本選手は望みをつなぎました。
第5ゲーム、9連続失点から4連続得点で意地を見せる
しかし、第5ゲームは王曼昱選手が再び勢いを取り戻しました。スポーツ報知によると、この日好調だった王曼昱選手の速い打点からのフォアハンドが次々と決まり、張本選手は1-0とリードしたところから、9連続で失点しました。1-9と大きく引き離され、試合の大勢が決まりました。
それでも張本選手は、そこから4連続で得点して意地を見せました。しかし反撃はここまでで、最後は6-11で押し切られ、ゲームカウント1-4で敗れました。第3ゲームの5連続失点、第5ゲームの9連続失点と、王曼昱選手が一気に連続得点を重ねる場面で勝負が決まった試合でした。
試合後の「完敗だった」コメント
涙の取材対応
試合後、張本選手は取材エリアで涙を流しながら試合を振り返りました。スポニチアネックスによると、張本選手は「完敗だったかなと思う。1ゲーム取れたのは最低限というか、ラッキーというか…。やってみて、凄く強かったなと感じました」と話しています。スポーツ報知は、号泣した張本選手が「完敗だった。全てにおいて相手が強かった。実力の部分でまだまだ足りない。練習あるのみです」と言葉を絞り出したと伝えています。
世界ランキング3位の張本選手が「完敗」という言葉を使ったことは、王曼昱選手との力の差を本人が強く感じたことを表しています。一方で、世界1位を相手に1ゲームを奪い、第3ゲームでは4点をリードする場面もありました。18歳の張本選手にとって、自国開催のアジア大会で世界の頂点との差を肌で感じたことは、今後の成長につながる経験になるはずです。
団体決勝の2-3からの再戦だった
張本選手と王曼昱選手の対戦は、今大会で2度目でした。9月24日に行われた女子団体決勝で、2人は第2試合で対戦しています。テレ東卓球NEWSによると、このときは張本選手が2-3(11-6、4-11、11-9、6-11、10-12)で敗れました。最終ゲームを10-12で落とす、あと一歩の惜敗でした。
団体決勝は、日本が中国に0-3で敗れ、2大会連続の銀メダルとなりました。その直前の男子団体決勝では、日本が中国を破って60年ぶりの金メダルを獲得しています(「卓球男子団体が中国に勝った決勝を1試合ずつ解説|張本智和「勝つから待っとけ」と60年ぶり金の舞台裏」)。中国は女子団体で大会6連覇を達成し、日本は60年ぶりの金メダルに届きませんでした。デイリースポーツは、今回の準決勝を「団体戦のリベンジを期しての再戦」と伝えています。スポーツ報知によると、張本選手は今年5月の世界卓球の団体決勝で、12度目の対戦にして王曼昱選手に初めて勝っていましたが、通算の対戦成績はこれで1勝12敗となりました。団体戦では最終ゲームまでもつれた相手に、シングルスでは1-4と差をつけられる結果となりました。
張本美和の今大会の成績
団体は銀、シングルスは銅、混合ダブルスは準々決勝で敗退
張本選手は今大会、4種目にエントリーしています。これまでの成績は次のとおりです。
- 女子団体:銀メダル(決勝で中国に0-3。張本選手は王曼昱選手に2-3で惜敗)
- 混合ダブルス:準々決勝で敗退(松島輝空選手と組み、中国の王楚欽/孫穎莎組に0-3)
- 女子シングルス:銅メダル(準々決勝で北朝鮮のキム・クムヨン選手に勝利、準決勝で王曼昱選手に1-4)
- 女子ダブルス:銅メダル以上が確定(早田ひな選手と組み、9月28日に準決勝と決勝)
混合ダブルスの準々決勝は、団体決勝の翌日、9月25日の午前10時から行われました。相手の王楚欽/孫穎莎組は世界選手権の混合ダブルスで3連覇中のペアで、スポーツ報知によるとスコアは0-3(10-12、11-13、8-11)でした。卓球王国によると、松島/張本組は各ゲームでリードする場面を作りながらも、終盤に逆転されています。スポーツ報知は見出しで、団体決勝の夜は午前2時半ごろに就寝し、午前10時開始の試合に臨んだと伝えています。
このように、張本選手は連日の試合で中国のトップ選手と戦い続けてきました。残る女子ダブルスは、張本選手にとって今大会で金メダルを狙える最後の種目です。9月28日の女子ダブルスは、決勝で中国の蒯曼/王曼昱組に0-4で敗れ、銀メダルでした。試合の内容や今後については「みわひな(張本美和・早田ひな)が銀メダル|中国ペアに0-4、第1ゲームは0-11 それでもペアを続ける理由と、ロス五輪で女子ダブルスが復活」でまとめています。
次は28日、早田ひなとの女子ダブルス
準決勝と決勝が同じ日に行われる
張本選手と早田ひな選手のペアは、9月26日の女子ダブルス準々決勝で中国の陳熠/范姝涵組に3-0(11-8、11-5、12-10)で勝ち、銅メダル以上を確定させました。SPREADによると、張本選手は前回2023年の杭州大会でも木原美悠選手と組んで女子ダブルスの銅メダルを獲得しており、この種目で2大会連続のメダルとなります。SPREADとスポーツ報知は、早田/張本組を世界ランキング1位のペアと紹介しています。
女子ダブルスの準決勝と決勝は、9月28日(月)の同じ日に行われます。Goal.com日本版によると、日程と放送予定は次のとおりです。
- 準決勝:9月28日(月)12時00分開始予定。相手は香港の杜凱琹(ドゥ・ホイカン)/吳詠琳組(卓球王国による)。U-NEXTでライブ配信(地上波の放送予定は発表されていない)
- 決勝:9月28日(月)19時00分開始予定。TBS系列で18時30分から23時27分まで生中継予定、TVerで無料配信、U-NEXTでもライブ配信
準決勝の相手は、準々決勝でシンガポールのペアに勝った香港の杜凱琹/吳詠琳組です(卓球王国)。試合の開始時刻は、前の試合の進行によって変わる場合があるため、観戦や視聴の前に大会の公式情報や放送局の案内を確認しておくと安心です。
準決勝を勝ち抜けば、同じ日の夜に決勝が行われます。1日に2試合を戦う厳しい日程ですが、シングルスでともに中国の壁に挑んだ張本選手と早田選手が、ダブルスで金メダルをつかめるかどうかに注目が集まります。卓球の個人戦全体の日程と放送予定は「アジア大会の卓球 個人戦はいつ?張本・松島・戸上の日程と放送予定、60年前の金メダルの歴史も」でまとめています。
まとめ
張本美和選手の女子シングルス準決勝と、今後の日程を整理します。
- 張本美和選手は9月27日の女子シングルス準決勝で、世界ランキング1位の王曼昱選手に1-4(8-11、4-11、10-12、11-9、6-11)で敗れ、銅メダルとなった。日本勢32年ぶりの金メダルには届かなかった
- 第3ゲームは9-5のリードから5連続失点で逆転され、第5ゲームは9連続失点。試合後は涙を流しながら「完敗だった」「凄く強かった」と振り返った
- 王曼昱選手とは団体決勝でも対戦し、2-3で惜敗していた。今大会の成績は、団体が銀、シングルスが銅、混合ダブルスは準々決勝で敗退
- 次は9月28日、早田ひな選手との女子ダブルス。準決勝は12時から(U-NEXTで配信)、決勝は19時から(TBS系列で生中継)
18歳の張本選手は、世界の頂点との差を痛感する一方で、団体でもシングルスでも世界1位と互角に近い時間帯を作りました。悔しさを胸に、早田選手と挑む女子ダブルスで、今大会最後の金メダルに挑みます。
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参考・出典
- 張本美和は決勝進出ならず 世界ランク1位・王曼昱に1-4で敗れ銅メダル(THE DIGEST)|Yahoo!ニュース
- 張本美和、悔しいシングルス銅メダル 日本勢32年ぶりの金に届かず(スポーツ報知)|Yahoo!ニュース
- 張本美和は銅メダル 世界1位王曼昱に1-4完敗で4強敗退|デイリースポーツ
- 女子シングルス準決勝 リアルタイム速報・試合結果|SPREAD
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- 張本美和、早田ひながメダル確定!(デイリースポーツ)|Yahoo!ニュース
- Wang Manyu - Wikipedia
- スポニチアネックス、日テレNEWS NNN(2026年9月27日配信)