アジア大会

みわひな(張本美和・早田ひな)が銀メダル|中国ペアに0-4、第1ゲームは0-11 それでもペアを続ける理由と、ロス五輪で女子ダブルスが復活


愛知・名古屋アジア大会の卓球女子ダブルス決勝で、張本美和選手(木下グループ)と早田ひな選手(日本生命)の「みわひな」ペアは、中国の蒯曼・王曼昱組に0-4で敗れ、銀メダルとなりました。世界ランキング1位のペアとして臨み、60年ぶりの金メダルを目指しましたが、第1ゲームを0-11で落とす厳しい展開でした。

「世界1位なのに、なぜこんなに差がついたの?」「『60年ぶり』『52年ぶり』ってどういう意味?」「みわひなペアはこれからどうなるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。この記事では、決勝の内容と「○年ぶり」の意味を整理したうえで、早田選手と中沢鋭監督の試合後のコメント、ペアを続ける方針、そして2028年のロサンゼルス五輪で女子ダブルスが復活することまでをまとめて解説します。

女子ダブルス決勝は0-4で銀メダル

相手は蒯曼・王曼昱組(中国)

女子ダブルスの決勝は、2026年9月28日、愛知県豊田市のスカイホール豊田で行われました。スポーツ報知によると、張本・早田組は世界ランキング1位、相手の蒯曼(かい・まん)・王曼昱(おう・まんいく)組は世界ランキング2位でした。世界ランキングの上位2ペアによる、事実上の頂上決戦でした。

王曼昱選手は、女子シングルスの世界ランキング1位の選手で、今大会では女子団体の決勝で張本選手に3-2で勝ち、女子シングルス準決勝でも張本選手に勝っています(その後、女子シングルスで優勝)。蒯曼選手も、女子団体の決勝で伊藤美誠選手にストレートで勝ち、日本から1勝を挙げた選手です(TBS NEWS DIGによる)。西スポWEB OTTO!によると、早田選手はこのペアに「1回も勝ったことがない」と話していました。張本選手にとっては、今大会3度目の王曼昱選手との対戦でした。

結果はゲームカウント0-4のストレート負けで、みわひなペアは銀メダルとなりました。デイリースポーツによると、今大会の女子ダブルスは、中国ペアが日本の60年ぶりの金メダルを阻む形となりました。

第1ゲームは0-11

決勝で最も大きな衝撃だったのが、第1ゲームです。デイリースポーツによると、みわひなペアは第1ゲームの開始から11連続で失点し、わずか5分ほどで0-11でこのゲームを落としました。スポーツ報知によると、第2ゲームも0-3からのスタートで、第1ゲームから数えると14連続失点でした。試合の立ち上がりで一気に流れを持っていかれた形です。

SPREADと西スポWEB OTTO!によると、ゲームごとのスコアは次のとおりです。

ゲーム 張本・早田 蒯曼・王曼昱
第1ゲーム 0 11
第2ゲーム 11 13
第3ゲーム 4 11
第4ゲーム 9 11

第2ゲームは、5-8から4連続得点で逆転し、先にゲームポイントを握りましたが、デュースの末に11-13で落としました。第3ゲームは2点を先取したあと8連続失点。第4ゲームは9-9まで追いつきましたが、最後に突き放されました(デイリースポーツ、西スポWEB OTTO!による)。試合時間は36分でした。

早田選手は試合後、「1ゲーム目は何をしても点数を取れなかった。全ての技術で相手に上回られ、実力不足」と振り返っています(スポーツ報知による)。一方で、デイリースポーツによると「私たちもめちゃくちゃ戦えていないわけではなかった。ちょっとした1点の差、駆け引きの差で負けた」とも話しており、第2ゲームのように競り合える場面もあったことを前向きにとらえていました。

準決勝は香港ペアにストレート勝ち

決勝の前、同じ28日の昼に行われた準決勝では、みわひなペアは世界ランキング3位の香港の杜凱琹・吳詠琳組に、4-0(11-6、11-5、11-4、11-6)のストレートで勝っています(TBS NEWS DIG、SPREAD、スポーツ報知による)。試合時間はわずか29分でした。

この勝利で、日本勢はアジア大会の女子ダブルスで52年ぶりの決勝進出を決めました(TBS NEWS DIGによる)。卓球王国によると、みわひなペアは準々決勝でも中国の陳熠・范姝涵組に3-0で勝っており、スポーツ報知によると初戦の2回戦から決勝まで1ゲームも落とさずに勝ち上がってきました。それだけに、決勝での完敗は、中国のトップペアとの差を改めて突きつけられる結果となりました。前日の9月27日に張本選手の兄・智和選手が男子ダブルスで決勝に進んだ様子は「張本兄妹のアジア大会、同じ日の明暗|美和は銅、兄・智和は篠塚大登と大逆転で男子ダブルス決勝へ」で、アジア大会の卓球個人戦の日程は「アジア大会の卓球 個人戦はいつ?張本・松島・戸上の日程と放送予定、60年前の金メダルの歴史も」でまとめています。

「60年ぶり」と「52年ぶり」の意味

最後の金メダルは1966年バンコク大会の山中教子・深津尚子組

ニュースでは「60年ぶりの金メダルならず」という言葉が使われていました。デイリースポーツによると、これは、日本勢がアジア大会の女子ダブルスで最後に金メダルを獲得した1966年バンコク大会の山中教子・深津尚子組以来、60年ぶりの金メダルを逃したという意味です。

1966年のバンコク大会は、日本の女子卓球が最も強かった時代の一つです。英語版Wikipediaによると、この大会では、深津尚子さんが女子シングルスで金メダル、山中教子さんが銀メダルを獲得し、日本は女子団体でも金メダルを獲得しています。その後、中国がアジア大会に参加するようになってからは、女子卓球の金メダルは中国がほぼ独占しています。

銀メダルは1974年テヘラン大会の大関行江・枝野とみえ組以来

一方、「52年ぶり」は銀メダルについての数字です。スポーツ報知によると、日本勢がアジア大会の女子ダブルスで銀メダルを獲得するのは、1974年テヘラン大会の大関行江・枝野とみえ組以来、52年ぶりです。

つまり、日本の女子ダブルスは、1974年以降の半世紀以上、アジア大会で決勝に進むことすらできていませんでした。今回の銀メダルは、金メダルには届かなかったものの、日本の女子ダブルスにとって歴史的な成績です。張本選手は前回2023年の杭州大会でも、木原美悠選手と組んで女子ダブルスの銅メダルを獲得しており、2大会連続のメダルとなりました(SPREADによる)。

試合後の早田ひなと中沢監督のコメント

「全ての種目で中国人選手に負けたのが現実」

早田選手は今大会、混合ダブルスを除く3種目に出場し、すべての種目でメダルを獲得しました。28日終了時点の日本全体のメダル数は「アジア大会の日本のメダル数は172個|9月28日までの金銀銅と、過去の大会との比較」でまとめています。スポーツ報知、デイリースポーツ、TBS NEWS DIGによると、その成績は次のとおりです。

  • 女子団体:銀メダル(決勝の1番手で孫穎莎選手に1-3で敗戦)
  • 女子シングルス:銅メダル(準決勝で孫穎莎選手に敗戦)
  • 女子ダブルス:銀メダル(決勝で蒯曼・王曼昱組に0-4で敗戦)

3種目すべてでメダルを取った一方で、3種目とも最後は中国の選手に敗れています。張本選手が王曼昱選手に敗れた女子シングルス準決勝は「張本美和が世界1位の王曼昱に敗れ銅メダル|「完敗だった」涙のコメントと試合の流れ、次は早田ひなとのダブルス」で、「32年ぶり」と言われた女子シングルスの歴史は「「32年ぶりの金」とは?アジア大会卓球の女子シングルスで最後に勝った小山ちれと、中国の壁」で紹介しています。早田選手は「全ての種目で中国人選手に負けたのが現実。そこをどうやってちょっとずつ詰めていくか。そして最終的に勝てるように、本当にいろんなことを1つずつクリアしていかないといけない」と語りました(スポーツ報知による)。

早田選手は決勝の相手について、7月のUSスマッシュ(アメリカ・ロサンゼルス)の決勝で1-3で敗れたとき以来の対戦だったとしたうえで(スポーツ報知、ラリーズによる)、デイリースポーツの取材に「今日は4、5倍強かった。何しても返ってくる」と話しています。また、「女子ダブルスでの中国人選手の強さを感じるのは、伊藤(美誠)選手と世界選手権で組む以来。そこからお互いのレベルも変わっているし、それを知ることができたのはすごく良かった」と、収穫も口にしました。そして「今の実力を知ることができた。自分の可能性を信じ続けて頑張り続けることが大事」と前を向いています(スポーツ報知による)。

中沢鋭監督「1ゲーム目でめちゃめちゃダメージを受けた」

日本女子を率いる中沢鋭監督も、第1ゲームの影響の大きさを認めています。スポーツ報知によると、中沢監督は次のように話しました。

「想定した試合はこういう(シーソー)試合だったけど、1ゲーム目でめちゃめちゃダメージを受けた。やっていることはそんなに変わることがないけど、相手はさらに新しいこと、こちらのレシーブを制限されることをやってきたので、課題を修正していかないといけない」

中沢監督は、中国ペアがみわひなペアのレシーブ(相手のサーブを返すプレー)を制限する新しい戦術を用意してきたと分析しています。卓球のダブルスでは、サーブとレシーブの駆け引きが試合の流れを大きく左右します。中国ペアは、世界1位のみわひなペアを研究し、新しい手を打ってきたことになります。

張本選手も「自分たちが問題としてるのは、1、3ゲームがやっぱりなかなか点数が取れないので、それはもう単純に練習をしていくしかない」と話しています。第2ゲームについては、ああいう場面で0-4になってしまうとは思わず「タイムを取るか迷ってしまったりとか、それはもう経験」とも振り返りました(スポーツ報知による)。

みわひなペアはこれからも続く

2月のシンガポール・スマッシュから本格的に組み始めた

完敗のあとも、みわひなペアは今後も続けていく方針です。スポーツ報知によると、中沢監督は、ロサンゼルス五輪での金メダルを見据えて、日本のエース同士である張本選手と早田選手を、2026年2月のWTTシンガポール・スマッシュから本格的に組ませてきました。そして、今後もこのペアを継続させる意向を示しています。

中沢監督は、ペアの成長について「今までよりも台上のプレーからの展開は良くなった。早田選手の打たれた時の守備やカウンターも良くなってきた。ただ、今の試合を見ると、まだまだ物足りない」と評価しています(スポーツ報知による)。本格的に組んでから約8か月で世界ランキング1位になったペアですが、中国のトップペアに勝つためには、さらに課題を克服する必要があるということです。

ペアについては、張本選手が「最終的にはもう本当に2人で自分たちで決めていけるように、全てをお互いが知ってるぐらい話していける、そんな関係にやっぱりなっていかないといけない」と話しています(スポーツ報知による)。早田選手も、ペアを組んでまだ日が浅いことを課題に挙げています。18歳の張本選手と26歳の早田選手。8歳差のペアが、これからどこまで息を合わせていけるのかが注目されます。

次は10月1日開幕の中国スマッシュ

みわひなペアの次の舞台は、アジア大会の直後に始まるWTT中国スマッシュ(チャイナスマッシュ、北京スマッシュとも呼ばれます)です。デイリースポーツとスポーツ報知によると、2人はペアで出場します。

北京市の発表によると、WTT中国スマッシュ2026は、2026年10月1日(木)から11日(日)まで、北京の首鋼園で開催されます。女子ダブルスには24ペアが出場します。テレビ放送やネット配信の予定、組み合わせは、テレビ東京の卓球公式サイトなどで確認してください。

アジア大会から間を置かずに臨む大会で、みわひなペアがどんな修正を見せるかに注目です。

2028年ロス五輪で女子ダブルスが復活

2004年アテネ大会以来の実施

みわひなペアが最大の目標にしているのが、2028年のロサンゼルス五輪です。卓球王国によると、2025年4月10日、国際オリンピック委員会(IOC)の承認により、ロス五輪の卓球の種目が大きく変更されることが決まりました。ロス五輪では、次の6種目が行われます。

  • 混合団体(新種目)
  • 混合ダブルス
  • 男子ダブルス
  • 女子ダブルス
  • 男子シングルス
  • 女子シングルス

これまで行われてきた男子団体と女子団体がなくなり、新たに混合団体が加わるとともに、男女のダブルスが復活します。女子ダブルスが五輪で行われるのは、2004年のアテネ大会以来、6大会ぶりです(スポーツ報知による)。

卓球王国によると、2026年2月に国際卓球連盟(ITTF)が発表した出場資格のルールでは、1つの国・地域から出場できるのは、女子ダブルスが1ペアまで、女子シングルスが2人までです。また、1つの国・地域から出場できる選手は男女各3人までとされています。つまり日本の女子は3人で、シングルス、ダブルス、混合ダブルス、混合団体をまかなうことになり、誰がどの種目に出るかの組み合わせも重要になります。

さらに卓球王国によると、ITTFは、ロス五輪を見据えて2027年に「ダブルス・ワールドカップ」を新設すると発表しています。

日本はこれまで、五輪の女子ダブルスでメダルがない

スポーツ報知によると、女子ダブルスが五輪で行われた2004年アテネ大会までの5大会で、日本はメダルを獲得していません。女子ダブルスは、日本にとって五輪でまだメダルのない種目です。

一方、ロス五輪から女子ダブルスが復活することで、日本には新たなメダル獲得のチャンスが生まれます。みわひなペアは、現在その女子ダブルスで世界ランキング1位にいます。中沢監督が「避けては通れない」とする中国のトップペアに勝つことが、五輪の金メダルへの道となります。

早田選手は、ロス五輪まであと2年となった今、「今の実力を知ることができた」と語っています。アジア大会で味わった完敗を糧に、2年後にどこまで中国との差を縮められるかが、みわひなペアの最大のテーマになります。

まとめ

張本美和選手と早田ひな選手の「みわひな」ペアについて、ポイントを整理します。

  • 9月28日のアジア大会女子ダブルス決勝で、世界ランキング1位のみわひなペアは、中国の蒯曼・王曼昱組(同2位)に0-4で敗れ、銀メダルとなった。第1ゲームは開始から11連続失点で0-11だった
  • 「60年ぶりの金メダルならず」は、1966年バンコク大会の山中教子・深津尚子組以来の金を逃したという意味。一方、銀メダルは1974年テヘラン大会の大関行江・枝野とみえ組以来、52年ぶり
  • 早田選手は団体銀、シングルス銅、ダブルス銀と3種目でメダルを獲得したが、すべて中国選手に敗れ「それが現実」と受け止めた。中沢監督は「1ゲーム目でめちゃめちゃダメージを受けた」と語った
  • ペアは今後も継続する方針で、次は10月1日開幕のWTT中国スマッシュ(北京)に出場する
  • 2028年ロス五輪では、女子ダブルスが2004年アテネ大会以来6大会ぶりに復活する。日本はこれまで五輪の女子ダブルスでメダルがない

銀メダルに満足せず、次の舞台へすぐに向かうみわひなペア。中国の壁を越えて、2年後のロス五輪で日本初の女子ダブルスのメダル、そして金メダルをつかめるか。これからの成長に注目しましょう。


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参考・出典