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アジア大会

【バレー女子】「48年ぶり」ってどういうこと?昔の日本はアジア大会5連覇していた!歴代成績と"東洋の魔女"の時代


アジア大会のバレーボール女子で、日本は決勝で中国に0-3で敗れ、48年ぶりの金メダルはなりませんでした(結果は該当箇所に追記しています)。ニュースでは決勝前から「48年ぶりの優勝を目指す」と繰り返し伝えられていましたが、その一行を読んで「48年も勝てていなかったの?」「昔の日本はそんなに強かったの?」と引っかかった方も多いのではないでしょうか。

この記事では、その「48年ぶり」という数字の中身を丁寧に解きほぐします。アジア大会バレー女子で日本がいつ、どれだけ勝ってきたのかを歴代成績で確認し、なぜ1978年を最後に優勝から遠ざかったのか、そして今の日本代表がどの位置にいるのかまで整理しました。あわせて、多くの人が混同しがちな「アジア大会の金メダル」と「ロサンゼルス五輪の出場権」の関係についても、公式に発表されている予選方式をもとに解説します。

バレー女子の「48年ぶり金メダル」ってどういう意味?

最後の優勝は1978年のバンコク大会

「48年ぶり」という数字は、アジア競技大会(アジア大会)のバレーボール女子で日本が最後に優勝した年から数えたものです。日本の最後の金メダルは1978年のバンコク大会でした。1978年から2026年までが48年間にあたります。

ここで注意したいのは、アジア大会とアジア選手権はまったく別の大会だという点です。アジア大会は4年に1度、陸上や水泳など多くの競技を集めて開かれる「アジア版オリンピック」であり、バレーボールはその一競技として実施されます。一方、アジア選手権はバレーボール単独の大陸選手権で、2026年8月に中国・天津で開かれた大会がこれにあたります。日本はアジア選手権では何度も優勝していますが、アジア大会では1978年を最後に頂点から遠ざかっている、というのが「48年ぶり」の正確な意味です。

もう一点、前回大会の呼び方にも補足が必要です。前回は「2022年アジア競技大会」として中国・杭州で計画されましたが、新型コロナウイルスの影響で1年延期され、実際に開催されたのは2023年でした。そのため記事によって「杭州2022」と書かれていたり「2023年の杭州大会」と書かれていたりしますが、同じ大会を指しています。

なお、決勝は9月22日(火・休日)19時20分開始で、中国との対戦です。21日に行われたのは、韓国との準決勝です。決勝の放送や見どころは、【バレー女子】アジア大会決勝は何時から?中国戦の放送・見どころと「48年ぶり金」の条件まとめで整理しています。

【年表】アジア大会バレー女子、日本の歴代成績

1962年から1978年まで5連覇していた黄金時代

アジア大会でバレーボール女子が正式競技として実施されたのは1962年のジャカルタ大会からです。そしてその第1回から1978年まで、日本は5大会連続で金メダルを獲得しています。歴代のメダル獲得国を一覧にすると、勢力図の移り変わりがはっきり見えてきます。

年 開催地 金 銀 銅
1962 ジャカルタ 日本 韓国 インドネシア
1966 バンコク 日本 韓国 イラン
1970 バンコク 日本 韓国 カンボジア
1974 テヘラン 日本 韓国 中国
1978 バンコク 日本 中国 韓国
1982 ニューデリー 中国 日本 韓国
1986 ソウル 中国 日本 韓国
1990 北京 中国 韓国 日本
1994 広島 韓国 中国 日本
1998 バンコク 中国 韓国 日本
2002 釜山 中国 韓国 日本
2006 ドーハ 中国 日本 チャイニーズタイペイ
2010 広州 中国 韓国 カザフスタン
2014 仁川 韓国 中国 タイ
2018 ジャカルタ・パレンバン 中国 タイ 韓国
2022(2023年開催) 杭州 中国 日本 タイ
2026 愛知・名古屋 中国 日本 タイ

2026年の愛知・名古屋大会は、決勝で日本が中国に0-3(19-25、20-25、23-25)で敗れ、銀メダルとなりました。杭州大会に続く2大会連続の銀メダルです。金メダルは中国が獲得し、これで2018年、2023年に続く3連覇となりました。3位決定戦ではタイが韓国を0-3(20-25、19-25、23-25)で下し、銅メダルを獲得しています。

1962年から1978年までの5大会で、日本の対戦相手として決勝や表彰台に並んだのはほぼ韓国でした。中国が初めてメダル圏に現れるのは1974年テヘラン大会の銅メダルで、1978年バンコク大会では銀メダルまで順位を上げています。つまりこの黄金時代の終盤は、日本が中国の台頭を目前に感じながら王座を守っていた時期でもありました。

1982年以降、中国と韓国に阻まれ続けた48年間

転機は1982年のニューデリー大会です。この大会で中国が初めて金メダルを獲得し、日本は銀メダルに後退しました。以降、アジア大会の女子バレーは事実上「中国の大会」になります。1982年から前回の杭州大会までの11大会のうち、中国が金メダルを獲得したのは9回。残る2回(1994年広島、2014年仁川)は韓国が制しており、この44年間、日本は一度も頂点に立てていません。

日本の成績を細かく見ると、1982年ニューデリーと1986年ソウルで銀、1990年北京から2002年釜山までは4大会連続で銅と、表彰台には上がり続けていました。しかし2010年広州、2014年仁川、2018年ジャカルタ・パレンバンの3大会では、表彰台に届きませんでした。日本にとってアジア大会は長く「勝ち切れない大会」であり続けました。

この期間、日本が国際大会でまったく戦えなかったわけではありません。2012年ロンドン五輪では銅メダルを獲得していますし、アジア選手権では優勝経験もあります。それでもアジア大会に限ると、中国と韓国、さらに近年はタイという壁に阻まれ続けてきたのが実情です。

前回(杭州)は決勝で中国に敗れ銀メダル

流れが変わり始めたのが前回の杭州大会でした。日本は決勝に進出し、中国に敗れたものの銀メダルを獲得しています。日本がアジア大会で決勝の舞台に立ったのは2006年ドーハ大会以来のことでした。

そして今大会、日本は準決勝で韓国を25-20、25-22、25-16のストレートで下し、2大会連続の決勝進出を決めました。決勝の相手は前回と同じ中国です。日本にとっては「前回敗れた相手へのリベンジ」であると同時に、48年続いた空白に終止符を打てるかどうかの一戦でしたが、結果は0-3で敗れ、前回と同じストレート負け。48年の空白は、次の大会に持ち越されることになりました。

なぜ昔の日本はあんなに強かったのか

「東洋の魔女」と回転レシーブの時代

1960年代の日本女子バレーの強さを語るうえで欠かせないのが「東洋の魔女」です。この呼び名は、大日本紡績(日紡)貝塚工場の女子バレーボール部を母体とする日本代表チームに対して、1961年の欧州遠征で24連勝を記録した際、現地メディアが名付けたものとされています。

チームを率いたのは大松博文監督でした。1953年に監督へ就任し、「2年で日本一のチームを」という目標を掲げて選手を鍛え上げます。

技術面での象徴が「回転レシーブ」です。身体を投げ出してボールを拾う守備で、1961年の欧州遠征では、この回転レシーブを武器に24戦全勝という成績を収めました。守備力と変化球サーブを武器に、日本は1962年の世界選手権でソビエト連邦を3-1で破って優勝します。日本の団体球技が世界大会を制したのは、これが初めてのことでした。

そして1964年の東京五輪では、5試合で失ったセットがわずか1という圧倒的な内容でソ連を下し、金メダルを獲得します。決勝戦のテレビ視聴率は66.8%あるいは85%と記録され、日本中が熱狂しました。6人制バレーボールの公式戦連勝記録は258試合、期間にして2458日に及びます。アジア大会で1962年から5連覇できた背景には、この世界最強クラスのチームが国内にあったことがあると考えられます。

【深掘り】中国が台頭してから勢力図がどう変わったのか

では、なぜ日本は勝てなくなったのでしょうか。最大の要因は中国の急成長です。中国は1974年のテヘラン大会で初めてアジア大会のメダル(銅)を獲得し、1978年に銀、1982年に金と、わずか8年で頂点に駆け上がりました。1980年代の中国女子代表はワールドカップ、世界選手権、オリンピックを続けて制し、世界の頂点に立ちます。

この勢力交代の背景には、身体的な条件の変化があると言われます。日本が世界一になった1960年代は、高さよりも守備力と組織力で勝負できる時代でした。しかしその後、ネット際の高さとパワーが勝敗を左右する比重が高まり、平均身長で上回る中国やロシア、欧米勢が優位に立つようになります。日本が得意としたレシーブとつなぎのバレーだけでは、高いブロックとパワーを跳ね返しきれなくなったわけです。

加えて、アジア大会そのものの競争も激しくなりました。1990年代以降は韓国が2度優勝し、2010年代にはタイが銀メダルや銅メダルを獲得するようになります。かつては日本と韓国の二強だったアジア大会の女子バレーは、中国を軸に韓国、タイ、そして日本が争う構図へと変わりました。48年という年月は、日本が弱くなった年月であると同時に、アジア全体のレベルが上がった年月でもあります。

今の日本は「強い時代」に戻りつつある?

世界ランキング6位という現在地

現在の日本の立ち位置を示すのが、FIVB(国際バレーボール連盟)の世界ランキングです。今大会の準決勝前時点で、日本は6位。決勝で対戦する中国は7位でした。つまり数字の上では、日本と中国はほぼ互角の位置にいます。

かつて世界の頂点に君臨し、その後長く低迷した時期を経て、日本は再び世界の上位グループに戻ってきています。2012年ロンドン五輪の銅メダル以降、オリンピックでのメダルからは遠ざかっているものの、ランキングという客観的な指標で見れば、アジアで中国と肩を並べる水準にあると言えます。

海外組の増加と若手の台頭

近年の日本女子バレーを語るうえで大きいのが、海外リーグでプレーする選手の増加です。今大会のスターティングメンバー7人のうち、セッターの関菜々巳選手、アウトサイドヒッターの和田由紀子選手、そしてミドルブロッカーとして起用されている秋本美空選手の3人が、イタリア・セリエAのブストアルシツィオに所属しています。同じくアウトサイドヒッターの佐藤淑乃選手も、今季からセリエAのヴェロ・バレー・ミラノでプレーしています。今大会のメンバーには入っていませんが、主将の石川真佑選手もトルコの強豪エジザジュバシュに移籍しました。

海外リーグでプレーする意義は、世界トップレベルの高さとパワーを日常的に経験できる点にあります。国内では味わいにくい高いブロックや強烈なサーブを毎週のように受けることで、国際大会でも動じない対応力が身につきます。中国に勝ち切れなかった時代の課題が「高さへの対応」だったことを考えると、この変化は本質的な強化につながる可能性があります。

若手の台頭も目立ちます。今大会でミドルブロッカーに転向した20歳の秋本美空選手は、チーム最年少にして最長身の185cm。準決勝では12得点を挙げました。トルコ出身のフェルハト・アクバシュ監督が、彼女の高校時代のプレーを見てコンバートを決めたと報じられています。ポジションの枠にとらわれない起用は、これまでの日本にはあまりなかった発想です。石川真佑選手が出場していない理由など、今大会の日本代表の顔ぶれは、【バレー女子】石川真佑はなぜいない?秋本美空がミドルに転向した理由と“新・日本代表”のメンバーまとめで整理しています。

一方で、アジア選手権3位という「取りこぼし」もある

もっとも、順調なことばかりではありません。2026年6月から7月のネーションズリーグ(VNL)では準々決勝で敗退し、8月のアジア選手権では準決勝でタイに1-3で敗れて3位に終わりました。このアジア選手権は優勝すればロサンゼルス五輪の出場権が得られる大会だったため、日本にとっては大きな取りこぼしでした。優勝したのはタイで、決勝で中国を下してアジア大陸の五輪出場枠を獲得しています。

帰国会見で主将の石川真佑選手は「期待に応えることができず申し訳ない」と語り、タイ戦については「メンタルはスキルにつながってくると感じた」と課題を口にしました。技術ではなく、チームとしてのまとまりや勝負どころの精神面に課題が残ったという趣旨です。

つまり現在の日本は、筆者の見方では、「世界ランキングでは上位にいるが、一発勝負のトーナメントで取りこぼす」という段階にあります。今大会でアジアの頂点に立てるかどうかは、その課題を乗り越えられたかを測る試金石にもなります。

アジア大会で優勝したらロス五輪に出られる?

【深掘り】ロス五輪の出場権はどう決まるのか

ここは誤解が生まれやすい部分なので、公式に発表されている内容を正確に整理します。結論から言うと、アジア大会で優勝してもロサンゼルス五輪の出場権は得られません。アジア大会は五輪予選を兼ねていないためです。

日本バレーボール協会が発表しているロサンゼルス2028オリンピックの出場国決定プロセスによると、男女各12チームの出場枠は次の4つのルートで決まります。

  • 大陸選手権:5枠 — 2026年の5大陸選手権(アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北中米カリブ、南米)の優勝チーム
  • ワールドカップ:3枠 — 2027年に行われるワールドカップの上位3チーム
  • FIVB世界ランキング:3枠 — 2028年6月中旬、ネーションズリーグ予選終了時点の世界ランキング上位3チーム(上記で出場権を得たチームを除く)
  • 開催国枠:1枠 — アメリカ

このうち、アジアの大陸選手権枠はすでに2026年アジア選手権で決着しており、優勝したタイが獲得しました。したがって日本に残されているのは、2027年のワールドカップで上位3チームに入るルートと、2028年6月時点の世界ランキングで上位3チームに入るルートの二つです。「最短での切符獲得を逃し、来夏以降に持ち越し」と報じられているのは、この構造を指しています。

なお、ワールドカップという名称は従来の世界選手権から変更されたものです。大会の名称変更については各種報道で触れられていますが、2027年大会の詳細な日程や開催地については、日本バレーボール協会やFIVBの公式発表を確認してください。

今回の金メダルが持つ本当の価値

では、五輪の切符に直結しないアジア大会の金メダルには、どんな意味があるのでしょうか。

一つ目は、世界ランキングへの影響です。ロサンゼルス五輪の出場権のうち3枠は2028年6月時点の世界ランキングで決まります。アジア大会がFIVB世界ランキングのポイント対象大会に含まれるかどうかは公式情報で確認が必要ですが、いずれにせよ中国のような上位国に勝った経験は、その後の国際大会での戦い方に直結します。

二つ目は、チーム作りの面での価値です。今大会の日本は、主将の石川真佑選手をはじめ主力の一部が不在で、若手中心の編成で臨んでいます。アクバシュ監督はアジア選手権後、アジア大会について「若い選手がより責任を持って戦う大会になる」と述べ、メダル獲得を目標に掲げていました。ここで優勝を経験した若手が2027年のワールドカップ、2028年の五輪予選で中心になっていくことを考えれば、金メダルの持つ意味は単なる一大会のタイトル以上になります。

三つ目は、48年という歴史的な重みそのものです。記録が途切れるということは、それだけで次の世代の基準が変わります。「日本はアジア大会で勝てない」という前提が消えることは、チームにとっても、追いかけるファンにとっても小さくない変化です。

まとめ|決勝は「歴史が変わる一戦」

「48年ぶり」という数字は、日本女子バレーが1962年から1978年までアジア大会を5連覇した黄金時代と、1982年に中国が台頭して以降ずっと頂点に届かなかった年月の両方を映しています。

かつての強さを支えたのは「東洋の魔女」と呼ばれたチームと、回転レシーブに象徴される守備力でした。しかし高さとパワーが勝敗を分ける時代に移るなかで、中国、韓国、そしてタイの台頭に阻まれてきたのがこの48年間です。いまの日本は世界ランキング6位、海外組の増加と若手の台頭で再び上位に戻りつつある一方、アジア選手権3位という取りこぼしの課題も抱えています。

そして忘れてはならないのは、アジア大会の金メダルがロサンゼルス五輪の出場権に直結しないという点です。日本に残る道は2027年のワールドカップ上位3位以内か、2028年6月時点の世界ランキング上位3位以内の二つ。だからこそ今大会は、結果以上に「若いチームがどこまで戦えるか」を測る大会でもありました。

決勝の結果、日本は中国に0-3で敗れ、48年ぶりの金メダルは次の大会に持ち越されました。ただし、杭州大会に続く2大会連続の決勝進出、そして銀メダルという結果は、中国と対等に渡り合える位置に日本が戻ってきていることを示しています。若手中心のチームがこの経験をどう次につなげるか、2027年のワールドカップ以降にも注目です。男子バレーの放送・配信予定と、初戦が地上波で生中継されなかった経緯は「アジア大会の男子バレーはなぜ地上波の生中継がない?|カザフスタン戦以降の放送・配信予定と決勝までの日程」でまとめています。男子の日本代表メンバーと、石川祐希選手らが出ない理由は「アジア大会の男子バレー日本代表メンバー12人|甲斐優斗・高橋慶帆・大塚達宣らの若手中心で、石川祐希・高橋藍が出ない理由は?」で紹介しています。初戦のウズベキスタン戦の流れと、日本男子のアジア大会の過去の成績は「男子バレー日本がウズベキスタンに3-0で白星発進|16年ぶりの金メダルへ、アジア大会の過去の成績と今後の日程」で紹介しています。

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参考・出典